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米国が世界から手を引きつつあるとのFT紙記事。だが米国人は本来「超」ひきこもりだ

 

 世界の警察官であった米国が内向きになろうとしているという英フィナンシャル・タイムズ(FT)の記事が話題となっている。同紙は斜に構えた論調が売りの高級紙であり、そのコラムは、知的な冗談として話半分くらいに考えるのが丁度よい。だが米国が世界の問題に関心を払わなくなっているという今回の主張は、多少おおげさかもしれないが、核心を突いている。

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  米国は圧倒的な軍事力と経済力をバックに、世界のどこでにでも顔を出し、あらゆる事に口を挟んできた。日本においても、反米的な立場であれ、親米的な立場であれ、常に米国がどう考え、どう行動するのかが議論の的となっている。

 だがFT紙はこうした米国の対外政策は終わろうとしていると分析している。
 確かにオバマ政権はシリアへの武力介入について頑なに拒否し、イスラエルとの関係が良好ではないチャック・ヘーゲル氏をあえて国防長官に指名した。また中東から常駐空母を引き上げさせ、中国に対してはひたすら外交交渉を進めている。FT紙では一方的に防空識別圏を設定した中国に対して、米国がはっきりとした態度を示さなかったのはそのよい証拠であるとしている。

 一部にはこうしたスタンスはオバマ大統領に特有のものとする見方もある。実際、共和党の保守派や人権外交を振りかざす古典的な民主党員の中には、従来と同様、積極的な国際関与を望む声もある。
 だが米国の内向きなムードはオバマ大統領の個人的な感覚だけではないようだ。調査機関ピュー・リサーチ・センターによる調査では、米国人の52%が「米国は自国の問題に専念すべきである」と答えており、これは歴史的に見ても高い水準だという。

 この先米国の世論がどう振れるのかはまだ分からない。だが忘れてはならないのは、米国人は本来、「超」がつくほどの「引きこもり」であったという事実だ。今ではあまり語られることも少なくなったが、米国は第5代大統領ジェームズ・モンローの時代に、いわゆる「モンロー主義」を掲げ、世界の問題とは一切関わらないという外交姿勢を貫いていた(厳密には欧州との相互不干渉主義)。

 自国のことにしか関心がなく、ひきこもってばかりの米国を変えたのは、第二次世界大戦である。米国はこれを機に、世界の問題に積極的に口を出すようになり、たびたび強引な軍事力を行使してきた。だが世界の警察官として振る舞っていた期間はわずか70年であり、それ以外の期間、米国はひたすら孤立主義だったのである。今でも南部に行けば、連邦制度そのものに懐疑的で、地域主義を掲げる本当の意味での「保守的」な米国人が多数存在している。

 米国はシェールガス開発の進展によって近い将来、エネルギーのすべてを自給できるようになる見込みである。また米国は中南米からの移民が急増しており、すでにプロテスタントの白人は多数派ではない。共和党における次期大統領候補の最有力者の一人はキューバ移民2世だ。石油や人種という呪縛もなくなりつつある今、米国がアメリカ大陸に引きこもってしまう可能性は決してゼロではないのだ。

 首都東京の目の前、東京湾に面する横須賀基地には、巨大な原子力空母ジョージ・ワシントンが常駐しており、必要に応じてアジア全域に核攻撃ができる体制が整っている。これが今現在のリアルな状況であり、中国がいくら日本に敵対的だといっても、軍の行動が一定のレベルに抑制されているのは、在日米軍の存在があるからにほかならない。

 日本ではあまり報道されていないが、来年、大規模修繕に入るため米国に戻るジョージ・ワシントンの後継については、あらたに空母を配備する必要はないとの声も米国の一部からは上がっていた(最終的にはロナルド・レーガンの正式配備が決定)。また普天間基地の移設問題で日本国内は手一杯だが、沖縄からの海兵隊の撤退は着実に進められている。

 この先すぐに米軍が日本からいなくなったり、日米安保が急に形骸化するという可能性は少ないだろう。だが、米国社会は確実に変化しつつある。日米安保と在日米軍が未来永劫存在するという前提条件は、そろそろ捨てた方がよい時期にきている。

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