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日銀が今回の決定会合で追加緩和に言及しなかった理由

 

 日銀は2014年1月22日、金融政策決定会合を開催し、昨年4月から実施している量的緩和策の継続を全員一致で決定した。昨年に引き続き、今年もマネタリーベースを年60兆から70兆円のペースで増加させる。黒田総裁は追加緩和については触れなかったが、市場では4月頃に日銀が追加緩和に踏み切るとの見方が大勢を占めている。

 nichigin02 足元の景気については「緩やかに回復を続けている」とし、堅調であるとの認識を示した。また今後の先行きについても、消費税の引き上げに伴う反動があるとしながらも、基調的には緩やかな回復を続けていくとの見方を維持した。物価については、量的緩和の導入から2年程度で2%という当初の目標を維持した。

 市場では早くも追加緩和の時期をめぐる話題で持ちきりとなっている。その理由は大きく分けて2つある。ひとつは日銀が供給する資金の増加ペースの問題、もうひとつは消費税10%への増税対応である。

 日銀は昨年に引き続き、年間60兆から70兆円のペースで資金を増加させる。資金増加の絶対量は同じだが、増加率という点では昨年を下回る。それは昨年すでに60兆から70兆円の資金を投入してしまっているからである。
 昨年4月の量的緩和の開始以後、マネタリーベースは約43%増加した。だが今年の末時点で70兆円の増加だと仮定すると、増加率は36%に低下してしまう。量的緩和の成果を示す物価は基本的に絶対量ではなく前年比で示される。昨年11月時点での消費者物価指数(コア指数)の上昇率は1.2%だが、この上昇ペースを維持しようと思った場合には、同じ金額では不十分であり、少なくとも同じ率の供給量増加が必要となる。

 もうひとつは消費税の10%増税である。2014年は消費税の8%増税があるため景気が落ち込むことはほぼ確実である。内閣府では2014年の経済成長率の見通しをプラス1.4%としている。内閣府では四半期ごとの予測は出していないが、国際機関などの予測によると、後になればなるほど、成長率の鈍化が著しくなる。

 このため、政府としては消費税増税によるGDP落ち込みの反動が期待される7~9月期の実績で10%増税を決定してしまいたい意向だ。そのためには、春先に追加緩和を実施するのがもっとも効果的である。政府は追加緩和については一切言及していないが、日銀に対しては、追加緩和の圧力が日増しに高まっている状況だ。

 今回、日銀が追加緩和に言及しなかったのは、やがて顕在化する追加緩和の圧力を見越して、意思決定を温存しておいたものと理解されている。

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