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わずか2日で自説を撤回。NHK籾井会長発言がもたらすもう一つの弊害とは?

 

 NHKの籾井勝人会長は2014年1月27日、従軍慰安婦問題について「どこの国にもあった」などと発言したことに関して不適切であったとの見解を示した。
 従軍慰安婦問題の是非はともかくとして、籾井氏の発言内容はほとんど居酒屋談義レベルのものであり、撤回を迫られるのは時間の問題であった。商社出身の会長として注目された籾井氏だったが、記者からの誘導尋問にそのまま乗せられ放言したあげく、わずか2日で自説を撤回するというリテラシーのなさを露呈する形になってしまった。

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 籾井氏は25日に開かれた就任記者会見において、従軍慰安婦問題について「どこの国にもあったということではないかと思う」「それは戦争をしている戦争地域ということだ」「日本だけが強制連行したみたいなことを言われている」などと発言した。

 おそらく籾井氏は記者からの誘導尋問的な質問に乗せられ、従軍慰安婦問題について自身が持つ漠然としたイメージをもとに安易に発言してしまった可能性が高い。
 このため発言内容を精査してもあまり意味はないのかもしれないが、とりあえず本人の主張を整理すると、「当時、戦争地域において売春婦の強制連行はどこの国でも行っていたことであり、日本だけが悪いわけではない」といった内容になる。

 もしそうだとすると籾井氏の認識はすべてが間違っていることになる。日本において軍による慰安婦の強制連行があったのかについては見解が分かれており、1993年のいわゆる河野談話と、2007年の安倍内閣による閣議決定ではその内容が異なっている。より最近の出来事である安倍内閣による閣議決定を日本の公式見解とするならば、日本も含めたすべての軍隊において売春婦を強制連行するようなことはなかったというのが、形式的には正しい共通理解ということになる。形式的な理解がそうなっている以上、その実態がどうあれ、まずはそれが話のベースになる。

 ところが籾井氏は、戦争が行われれば、軍による売春婦の強制連行があるのは当たり前であり、「なぜ日本だけが非難されなければいけないのか?」と考えているフシがある。あるいは混乱した戦地での婦女暴行や強制的な売春と話を混同しているのかもしれない。
 いずれにせよ、この発言に対して、日本軍による強制連行があったと主張している韓国はもちろんのこと、売春婦の強制連行などあってはならないという立場を貫いている諸外国すべてが反発するのは当然のことである。これが居酒屋談義であれば許されるだろうが、海外から見れば英国BBCと並ぶ、超巨大国営メディアのトップによる発言であることを考えると、状況はかなり深刻だ。

 最近、公的機関トップへの民間人登用が進んでいる。官僚という利益集団に重要ポストを独占させないことは非常に重要なことだが、民間からの登用で失敗する例は多い。
 民間人初の中国大使に任命された丹羽宇一郎氏は、尖閣諸島を巡って中国寄りの不適切発言を繰り返し、事実上更迭されてしまった。丹羽氏も今回問題発言を行った籾井氏も商社出身なのだが、日本のビジネスマンはいかにセンスがなく、政治の世界における汚い情報戦に対してひ弱であるかを露呈する結果になってしまった。

 このような事例が続いてしまうと、公的機関のトップは官僚でなければダメだという雰囲気が広がり、官僚による既得権益がさらに強化されかねない。諸外国では民間企業トップから、国の重要ポストに転じて職務をまっとうするのは当たり前の光景である。だが日本でそれを実現できないのは、人物の選択が間違っているのからなのか、それとも民間には本当に優秀な人材がいないからなのか?当然のことながら前者であることを祈りたいものである。

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