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影響力低下が著しい経団連。天下国家論ではなく、特定業種の利益を代弁

 

 このところ経団連の影響力低下が著しい。かつては政界に絶大な影響力を行使し、経団連会長は財界総理とも呼ばれていた。
 だが最近では政権との関係がギクシャクし、人事もスムーズに進んでいない。そして何より、提言の内容が「天下国家論」ではなく、特定業種の利益を代表するだけのものになっている。かつての経団連を知る人たちからは「ただの業界団体に成り下がってしまった」との声も聞こえる。

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 経団連は日本最大の経営者団体であり、経団連会長はは首相に匹敵する権力を持つともいわれてきた。歴代会長には、行政改革の推進者としても有名な東芝の土光敏夫氏、新日鉄の稲山嘉寛氏、東京電力の平岩外四氏など、そうそうたる顔ぶれが並んでいる。
 日経連との合併後は、その影響力はだいぶ落ちてきたが、それでもトヨタ自動車の奥田碩氏、キャノンの御手洗冨士夫氏など、大手製造業からトップが選れれ続けてきた。戦後の日本経済は製造業による輸出によって支えられてきたので、こうした人事はある意味で当然のことであった。

 だが日本は経済のサービス化が進んでおり、GDPにおける製造業の割合はすでに2割を切っている。本来であれば、経団連もこうした変化に対応していかなければならないが、状況はむしろ逆になっている。相変わらずトップ人事はオールド製造業が中心となっており、こうした風潮に反発した楽天の三木谷社長は経団連を脱退してしまった。
 また、財界人にとってはあこがれのポストであったはずの会長の座に誰も就きたがらないという異例の状況になっている。米倉会長の後任人事では内部に適任者が見つからず、OBである東レの榊原会長を起用した。

 榊原会長は政府の産業競争力会議のメンバーであり、安倍首相とも近いといわれている。政府との関係がしっくりいっていなかった現状からの脱却が期待されているが、状況はあまり芳しくない。
 榊原氏は安倍首相の意向を受けて早速、法人税実効税率の25%への引き下げを打ち出した。だが租税特別措置の扱いについて質問されると、経済成長が実現されるのであれば、見直しは必要ないとの見解を示した。

 租税特別措置とは、特定の業種や企業に対して税金を優遇する措置で、その数は130万件以上もあるといわれている。しかもその適用を受けている企業は、製造業と建設業に集中しており、利権の温床として批判の声も大きい。
 実効税率を引き下げるのであればこうした税の不公平をなくし課税ベースを拡大することが重要となる。特定企業への優遇を残したまま、税率だけを引き下げても、外国企業が不利となる状況には変化がなく、安倍首相が求める海外からの投資拡大にはつながらない。結果として税収だけが減るという悪循環になる可能性が高い。

 「天下国家」を論じる本来の経団連であれば、たとえ製造業には不利になるとしても、抜本的な税体系の見直しに関する議論は必要、というくらいの発言が欲しかったものである。だが実際には、特定業種の利権を温存したいという、極めてスケールの小さい発言に終始した。

 現在の日本は変化を頑なに拒否し、国民全体で目先の利益に執着し、縮小均衡を目指しているように見える。各界における人材の劣化が激しいといわれてから久しいが、これも国力低下を反映したものなのだろうか?

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