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シェールガス開発の是非をめぐってフランスが迷走。日本が学ぶべき点は多い

 

 フランスのモントブール生産回復相は2014年1月29日、フランスでは全面禁止されているシェールガスの開発について、環境への影響が小さい新しい採掘方法を使って解禁させたいという意向を明らかにした。フランスのメディアが伝えている。

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 シェールガスは米国を中心に各国で開発が進められているが、フランスでは現在主流となっている水圧破砕法と呼ばれる採掘方法が環境汚染を引き起こす可能性があるとして、採掘を禁止している。同様の指摘は米国にもあるが、米国は環境への配慮を行いつつも、基本的には採掘を進めていく方針だ。
 米国はシェールガスの開発によって近い将来、エネルギーのすべてを自給できる見込みが立つなど、シェールガスは各国のエネルギー政策を根本から覆すインパクトを持っている。ドイツでは、当初シェールガス開発には慎重なスタンスだったが、条件付きで採掘を許可する方向に傾きつつある。

 これに焦ったのがフランスである。フランス政府は昨年、水圧破砕法以外の方法で採掘が可能かどうかの検討を開始し、近くその報告書を発表する予定となっている。モントブール生産相はこの報告書にプロパンを使った新しい採掘手法を盛り込み、オランド大統領を説得したい意向だという。プロパンを使った方式は、水や化学物質を使用しないため環境への負荷が小さいとされている。

 フランス政府が最終的にどのような決断を示すのかは分からないが、シェールガスをめぐるフランスの迷走は、意思決定が下手といわれる日本にとっても非常に参考になる事例だ。

 フランスでは、シェールガス禁止の世論が強く、議会が採掘を禁止する決議を行ったほか、オランド大統領も採掘禁止を表明している。だがそのフランスで採掘解禁を強く求めているのは、民間企業ではなく、なんとフランスの国営企業である。要するに公務員同士の利権争いなのだ。

 モントブール生産相はこうした国営企業からの要望で採掘開始を主張していると考えられるが、生産相が主張する環境負荷が少ないという手法はもともと米国で開発されたものである。
 米国は環境汚染の問題が発生することは理解しつつも、基本的に開発を進める意向である。その是非はともかくとして米国のスタンスははっきりしている。開発が積極的に行われれば、資金も集まり、環境負荷を減らす技術開発も促進されるという考え方だ。プロパンを使ったこの新しい手法に効果があるとするならば、それは積極的に開発を進めたからこそ得られた成果といえる。

 今回のフランスのように、開発と禁止をめぐって意思決定が迷走するようだと、仮に開発に舵を切ったとしても、市場で出遅れるとともに、今回のように外国の技術に依存することになる。これとは逆に最終的に禁止にしたとしても、途中の迷走が激しいと、その政治的効果はかなり薄れてしまうだろう。
 意思決定の中に、官僚組織の利権争いが入り込んできたり、基本的な考え方にブレがあると、どちらの結論に達したとしても国益を損なうことになる。日本でも思い当たるフシがたくさんあるはずだ。

 - 政治

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