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米FRB、イエレン新体制が始動。大きな障害はないが、新副総裁との関係だけは微妙

 

 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の新しい議長にジャネット・イエレン氏が就任した。カレンダー上は2014年2月1日からだが、週末にあたるため、2月3日の月曜日に宣誓を行い、この日から実質的に業務スタートとなる。

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 イエレン氏は、バーナンキ前議長のもとで副議長を務めていた人物であり、バーナンキ氏が進めてきた量的緩和策の実務を担当してきた。基本的な考え方は、バーナンキ氏に近いといわれており、イエレン氏の就任で米国の金融政策が大きく変わるとは考えられていない。

 昨年後半は、イエレン氏の就任時期に米国経済が踊り場となり、量的緩和の縮小継続について微妙な判断が迫られるとの観測もあったが、好調な米国経済の指標がこうした懸念のほとんどを打ち消してしまった。

 米国商務省が発表した2013年10~12月の国内総生産は非常に良好な結果であった。物価変動の影響を除いた実質GDPは、年率換算で前期比プラス 3.2%だが、政府機関閉鎖の影響で政府支出がマイナスであったことを考えると、これは力強い数字といえる。しかも改定された7~9月期の数字は何とプラス4.1%となっている。米国が順調に景気回復していることはほぼ間違いなく、イエレン氏が足元の景気について憂慮する必要はほとんどなくなったといってよい。すでに各方面から指摘が出ているが、インフレに対する懸念の方がより重要となっている。
 米国の金融政策の変更で新興国通貨が暴落しているが、基軸通貨国である米国はタテマエはともかく、新興国の状況についてあまり考慮に入れていない。昨年12月にスタートした量的緩和策の縮小は、イエレン氏就任後も、毎月100億ドル減額というペースが維持される可能性が高いだろう。

 イエレン氏にとってさらに好都合なのは、失業率の改善が著しいことである。イエレン氏はバーナンキ氏よりリベラルといわれており、失業率へのこだわりが大きいとされていた。米国では景気が回復しているにもかかわらず、思いほのか失業率が改善しないという状況が続いていた。
 だが1月に発表された最新の雇用統計では、失業率が前月の7.0%から6.7%に急低下している。当面の目標であった6.5%まで間近に迫っており、失業率が下がらないことで緩和圧力が高まる可能性はだいぶ小さくなった。

 もっとも失業率が改善しているのは、就業者数が急増したからではない。職探しを諦めてしまい求職者にカウントされない人が増加したことがその背景にある。いわゆるジョブレスリカバリー(雇用なき景気回復)が発生しているということなのだが、90年代以降の米国では常にジョブレスリカバリーであった。このため市場もすでにそれを折り込み始めており、このことがイエレン氏に対する緩和圧力になる可能性は低い。

 イエレン氏の舵取りについて、懸念材料があるとすると、新しい副議長に就任したフィッシャー氏の存在である。フィッシャー氏はIMF(国際通貨基金)の副専務理事、イスラエル中央銀行総裁を務めた重鎮で、バーナンキ前議長の指導教官でもある。
 フィッシャー氏がイエレン氏の後ろ盾としてイエレン氏をうまくサポートすれば、イエレン新体制は非常にうまく機能する可能性が高い。だが、イエレン氏とフィッシャー氏で見解の相違があった場合には、意思決定が困難になる可能性もある。

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