ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

新興国不安から世界同時株安?だがこの動きは、多くの市場関係者が予測していた

 

 新興国の通貨安をきっかけに世界同時株安の状況となってきている。ドル円の為替相場も円高に方向転換したかのように見える。だが今回の株安と円高は、多くの市場関係者が予測していたことであり、あまり驚くような状況ではない。長期的な見通しを楽観視する投資家の中には、絶好の買いチャンスと捉えている人もいる。

tosho05

 年明けに1万6000円を超えて始まった東京株式市場は、大幅な下落が続き、1カ月間で10%以上も値を下げた。ニューヨーク株式市場も同様で、年明け以降7%近くの下落に見舞われている。一時105円台を付けていたドル円相場も、2月4日の時点では101円台となっている。

 市場では大きな下落があると、後付けでその理由が説明される。今回は米FRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和縮小をきっかけに新興国から資金が流出、これによって新興国経済に対する不安が高まり、各国の株安が連鎖したことになっている。
 確かに新興国の通貨が下落したのは、FRBによる量的緩和縮小でドル資金が米国に回帰したことが主な要因である。また新興国の通貨安が株安や円高のきっかけになったのも事実である。

 だが市場では、こうした事態の有無にかかわらず、そろそろ大規模な株安と円高が発生することは、多くの関係者が予想していたことであり、それほど驚くべき事態とは認識されていない。
 株式市場や為替市場は、純粋にファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)だけで動くものではない。そこには人間の心理が大きく影響しており、買われ過ぎや売られ過ぎといった投資家の非合理的行動も大きく影響する。また時間の経過も投資家の心理に大きく影響することが知られている。

 現在の米国経済は極めて良好であり、ファンダメンタルズから判断すれば何の問題もない。だが相場が連続して上昇する期間が長すぎたことや、一部の銘柄で現在の利益水準を超えて買われているものがあり、何かをきっかけに多くの投資家が一旦利益を確定しようと売りに回る可能性は以前から指摘されていたのである。
 またドル円相場についても、基本的な流れは円安ドル高であることに変わりはないものの、円安を前提にした信用取引(レバレッジをかけ、手持ち資金以上の資金で取引する手法)の残高がかなり増えており、これが解消されることで、一時的には急激に円高に振れる可能性も同様に指摘されていた。

 現在、日本の株式市場は国力低下を反映して国際マーケットでの地位が大幅に下がっている。米国株が下がればそれに追随して日本株も下がるという状況であり、これに円高要因も加わっている。このため日米で同時株安になることは、ある意味で当然のことなのである。すべては米国市場の内部的な要因であり、新興国の通貨安は、あくまでこうした動きのトリガーになっているにすぎない。

 長期的に考えれば、米国の経済は好調であり、今後も継続的な成長が見込まれている。米国経済を楽観視する投資家にとっては、今回の下落は絶好のチャンスとなるかもしれない。
 米国株が回復すれば、為替は円安に振れる可能性が高く、それは日本にとっても追い風となる。だが米国と異なり、日本は今年から来年にかけて成長が大幅に鈍化する見込みである。日本株への過剰な期待は禁物であろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

tosho05
日本の株式市場が賭博場になったのは、企業のダブルスタンダードが原因?

 持続的な成長を実現するために、企業と投資家の間にどのような関係が必要なのかにつ …

verizon
早まった?それとも大チャンス?ベライゾンのM&Aでソフトバンクに再び世界が注目

 米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズによる超大型買収が実現したことで、ソ …

toq
クアルコムの新しい腕時計型端末。目玉の新型液晶はシャープ技術の流用?

 米クアルコムは9月4日、腕時計型の携帯情報端末「toq(トーク)」を発表した。 …

kakeibo
家計のエンゲル係数が急上昇。それ以上に上昇しているのは電気代と水道代

 消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数が急上昇している。2014年4月に …

arumikoujou
世界景気のバロメータ、アルコアが黒字転換。世界の工業製品需要は堅調?

 アルミニウム大手のアルコアが黒字転換を果たした。同社の決算に対しては市場関係者 …

mizuho
新みずほ銀行がようやく発足。だが失われた10年はあまりにも長い

 みずほフィナンシャルグループのみずほ銀行とみずほコーポレート銀行が7月1日合併 …

keizaimitoshiimf
IMFの最新世界経済見通し。ドル高と原油安で米国成長率を下方修正

 IMF(国際通貨基金)は2015年4月14日、最新の世界経済見通しを発表した。 …

businessman02
非正規社員の数が過去最多。このほかにも実質賃下げを示唆する出来事が増加中

 総務省は8月13日、4~6月期の労働力調査の結果を発表した。それによると、非正 …

summly
まさに地殻変動!16歳のIT少年が簡単に1億円を集め、28億でYahooに技術を売却!

 米Yahooは2013年3月25日、ニュース要約アプリ「Summly」を買収す …

nichigin04
日銀が緩和の枠組みを金利目標にシフト。量的緩和策は事実上の長期撤退戦へ

 日銀は、2016年6月20日と21日に開催された金融政策決定会合において、従来 …