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安倍政権が集団的自衛権行使の議論を再開。一部からは遅きに失したとの声も

 

 安倍政権が集団的自衛権の行使容認に向けて再び動き始めた。2014年2月5日、参議院予算委員会に出席した安倍首相は、集団的自衛権の行使について「憲法改正が必要だという指摘は必ずしもあたらない」と述べ、憲法解釈の変更で対応できるとの見方を示した。

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 安倍政権は、現憲法下での集団的自衛権行使容認に向けて準備を進めてきた。2013年8月には政府の憲法解釈を担当する内閣法制局の長官に集団的自衛権の行使に前向きな人物を起用し、9月に入ると「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を再開した。

 当初は2013年中に憲法解釈の見直しを実施するはずだったが、11月になって安倍政権は突然方向転換を行い、憲法解釈変更の先送りを決定した。
 集団的自衛権の行使に慎重な公明党との調整がつなかったことや、政権内部で世論の動向を見極めたいとの意向が働いたことなどが、先送りの主な理由といわれている。今回、首相が正式に見直しについて言及したことで、中断していた実務作業も再開される可能性が高くなってきた。

 従来の政府による憲法解釈では、現憲法は個別自衛権は認めているものの、集団的自衛権までは認めていないということになっている。このため、自衛隊が個別に活動することはできるが、米軍との共同作戦の実施は憲法に抵触するという解釈になる。だが現実には、日米安全保障条約に基づいた米軍との共同作戦が常に想定されており、この問題をどうクリアするのかが以前から議論されてきた。

 今回、政府見解の見直しということになれば、米軍との共同作戦が可能となり、日米安保を強化するという観点ではプラスとなる。だが一部からは、少々タイミングが遅すぎたという指摘も出ている。

 米国はかねてから日本に対して集団的自衛権を行使できるよう、憲法解釈の見直しを求めてきた。だが国内の政治的対立から見直し論議は進まず、沖縄の普天間基地移設問題も迷走し、日米安保体制がギクシャクしてしまった。
 ブッシュ政権当時は、中国と米国はまだ緊張関係にあったが、オバマ政権時代になって状況は一変、米国と中国は、敵対するのではなく交渉する関係に変貌した。今月にはケリー国務長官が訪中し、包括的な実務協議を行うとともに、春にはオバマ大統領と習近平国家主席の首脳会談が予定されるなど、米中交渉は急ピッチで進展している。しかも現在の安倍政権は、歴史認識問題をめぐって米国とすきま風が吹いている状況だ。

 集団的自衛権の行使容認は、米国にとってメリットのあることには違いないが、以前に比べると、米国に対して「貸し」を作れる程のインパクトは持っていない。国内では、集団的自衛権の行使容認をテコに、日米同盟を一気に強化できるとの期待がある。また自衛隊と米軍という実務レベルにおいては、集団的自衛権の行使容認は画期的な出来事といえるだろう。だが政治レベルで見た場合、日本側が思うほど、米国はこの状況について感謝しないかもしれない。

  ただ、少なくとも中国から見れば、日本の自衛隊の活動レベルが一気に拡大されることになり、相当の抑止効果となるだろう。このことは、現在進められている米中交渉において、米国側に有利に働く可能性が高い。

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