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米1月の雇用統計は今ひとつ。失業保険給付打ち切りが失業率を下げた可能性が高い

 

 米労働省は2014年2月7日、1月の雇用統計を発表した。先月の雇用統計があまり芳しくない結果だったことから、今回の発表には多くの市場関係者が注目していた。注目された非農業部門の新規雇用者数の増加は11万3000人と先月よりは増加したが市場予想には届かなかった。ただ失業率は0.1ポイント改善し6.6%になった。

usakoyoutoukei201401 雇用統計は事業者側への調査を元にした指標と家計調査を元にした指標に分かれており、両者の結果が反対になってしまうこともある。今回の調査結果はまさにこのケースに該当し、企業側の調査結果はそれほどよくないが、家計調査を元にした失業率の結果は良好であった。

 この結果をどう解釈したらよいのかについては、見解が分かれるところだが、10~12月期のGDPが非常に好調だったことや、寒波の影響があることなどを考えると総合的には引き続き米国経済は好調と解釈するのが妥当と思われる。

 特に注目すべきなのは、今回の失業率調査の結果である。このところ失業率は順調に低下していたが、それは職探しを諦めてしまった人が増えたことが原因ではないかという懸念があった。求職活動を行わないと、その人は失業者の統計にカウントされないため、見かけ上失業率が減少するという状況が発生してしまう。

 米国はこれまで生産年齢人口は増えているのに、労働力人口が増えないという状況が続いていた。だが今月は非労働人口が35万人減少し、就業者の数が64万人増えた。これはリーマンショック後に発動された緊急失業保険の給付が打ち切られたことが大きく影響している。

 失業保険の給付が打ち切られた労働者は、条件が悪くても就業する道を選ぶのか、職探しそのものを諦めてしまうのかの二者択一を迫られる。議会上院で給付延長の法案が否決されたことを受け、条件を引き下げ、就職した人が多かったと考えられる。これが就業者の増加と失業率の低下を引き起こした可能性が高い。

 米国は80年代以後、経済構造の転換を図ってきている。付加価値の低い労働は海外やIT、ロボットに置き換わる運命にあり、低付加価値の労働者にとっては厳しい状況が続いている。今回の失業率の低下は実質的な賃金引き下げとのトレードオフであった可能性が高い。失業率は低下しているものの、これも一種のジョブレスリカバリー(雇用なき景気回復)なのかもしれない。

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