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イランで革命35周年式典が開催。状況は様変わりし、反米スローガンは一掃

 

 イラン革命35周年を記念する式典が2014年2月11日、イランの首都テヘランで行われた。昨年、イランと米国は歴史的和解を達成し、核問題の最終的な解決を目指す協議が今月から行われる予定となっている。式典は反米一色であった従来とは大きく様変わりしたものになり、中東情勢が大きく変化したことをうかがわせた。

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 イランは現在の革命政権が樹立される前は、パーレビ王朝が支配する親米的な王国であった。だが中東で起こったイスラム革命運動がイランにも波及。国外に亡命中だったホメイニ師が帰国し、現在のイラン革命政府が樹立された。パーレビ国王は自ら大型ジェット旅客機を操縦してエジプトに亡命(最終的には病気療養という名目で米国が受け入れ)している。パーレビ国王は、16世紀以来続いたペルシャ王朝最後の皇帝(シャー)となった。

 革命記念式典では、例年、激しい反米的スローガンが掲げられるのが常だったが、今回の式典は様子が違った。「米国に死を!」といった激しいプラカードは姿を消し、「我々は原子力の平和利用を推進している」といった建設的なものが目立った。米国に対するメッセージも「我々は最終的に勝利した」といったような抑制の効いたものになっている。演説を行ったロウハニ大統領も同様で、米国との交渉を最優先させる姿勢を明確に打ち出した。

 長年対立関係にあった米国とイランが和解に達した背景には、米国側の事情とイラン側の事情の両方がある。
 米国はオバマ政権が2期目を迎え、中東への関与を減らす方向性を明確にし始めている。米国はシリア問題には一切介入せず、イスラエルからの強い要望にも関わらず、イランとは交渉する道を選択した。米国はシェールガス革命によって近い将来、エネルギーの完全自給が可能となる。石油というファクターがなくなった今、中東は米国にとってそれほど重要な地域ではなくなりつつあるのだ。

 一方イランにとっても米国と交渉するメリットが大きくなっている。イラン政府の弾圧的な方針により反政府運動は抑制されているが、米国による対イラン制裁が経済に悪影響を与えており、実質的なインフレ率が30%を超え、国民生活が疲弊しているといわれる。
 イランは中東の中では生活水準が比較的高く、この状態を放置すると、アラブの春のような民主化運動が一気に拡大する可能性があった。イランの革命政権は、米国と妥協し、国民生活を安定させる方が得策と判断した可能性が高い。米国がイスラエルに対して距離を置き始めていることもイランの態度軟化に影響を及ぼしている。

 米国とイランの交渉は始まったばかりであり、核問題を完全に解決できるのはまだ不透明だ。だが今回の革命式典の様子を見ると、交渉が白紙に戻る可能性はさらに小さくなったと考えてよいだろう。

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