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英中央銀行がフォワードガイダンスを見直し。これってどういう意味?

 

 英国の中央銀行であるイングランド銀行は2014年2月12日、金融政策の見通しをはっきり示す「フォワード・ガイダンス」と呼ばれる手法を見直すと発表した。経済の成長が予想以上に好調で、緩和継続の目安としてきた失業率7%を切ることが確実になってきたことが主な原因。

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 フォワード・ガイダンスとは、量的緩和や金利など、中央銀行の金融政策の見通しについて、よりはっきりと示す手法のこと。
 例えば「失業率が6.5%を切るまでは緩和を継続する」「インフレ率が2%を下回っているうちは金利を上げない」など、中央銀行が具体的なメッセージを発することを指す。

 中央銀行のスタンスがはっきりしていれば、投資家はそれに合わせて行動することになる。中央銀行のスタンスをめぐって疑心暗鬼になる必要はないので、金融政策の効果を高めることができるといわれている。もともとは「時間軸政策」という名称で日銀が始めたものだが、現在では米FRB(連邦準備制度理事会)や英イングランド銀行など、各国の中央銀行が積極的にこの手法を採用している。

 一方フォワードガイダンスには弊害もある。目標とした指標と実体経済の状況が合致していればよいが、必ずしもそうとは限らないからである。米国は失業率6.5%を目安とするフォワードガイダンスを導入しているが、失業率はすでに6.6%に低下しており、額面通りに受け取れば、緩和縮小とともに、高金利政策に移行するタイミングとなる。米国は緩和縮小は開始しているが、金利は引き続き低め誘導を行う方針をあらためて強調している。

 こうしたズレがもっとも顕著になってしまったのが英国というわけである。イングランド銀行のカーニー総裁が就任した2013年8月当時は失業率が8%と高く、イングランド銀行は7%を目安とするフォワードガイダンスを実施してきた。だが年後半から英国の経済は急回復し、あっという間に失業率は7%を切る勢いとなっている。

 だが経済成長が顕著になってきたとはいえ、あらゆる産業分野が好調というわけではなく、経営者の中には金利上昇にかなりの抵抗感を持つ人も多い。このためイングランド銀行では、フォワードガイダンスを見直し、当面は低金利を維持する方向性を明確にした。

 英国の場合は、一種の嬉しい悲鳴ともいえるが、結果的に金融政策の今後の透明性は低下し、もとのやり方に戻ってしまった。経済は生き物であり、経済モデルの解析だけではすべてを説明することは難しい。やはり中央銀行のトップにはマエストロ的な能力が求められるのかもしれない。

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