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グーグルと鴻海がロボットで提携。困るのはファナックではなく日本の町工場?

 

 インターネット検索大手のグーグルと台湾の鴻海精密工業がロボット分野で提携を進めているという米メディアの報道が話題となっている。
 鴻海が生産ラインをロボットに置き換える計画を進めていることや、産業用ロボットの分野で米国が価格破壊を起こそうとしていることは以前から知られており、今回の報道に対しては、来るべき時が来たという印象を持った関係者が多い。絶対的な競争力を誇っていた日本の産業用ロボットに大敵が現れたことは間違いない。

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 グーグルはこのところロボット開発に力を入れており、その莫大な資金力を生かしてロボット関係のベンチャー企業を軒並み買収している。
 同社は人工知能の開発も急ピッチで進めているが、ロボットと人工知能は相互に関連する技術である。市場では近い将来、ロボットに人工知能技術を応用した画期的な製品や概念が出てくるのではないかと期待している。

 一方、鴻海は100万人以上の従業員を抱える電子機器受託生産のトップ企業である。iPhoneやiPadの製造の多くを同社が手がけている。鴻海はここ数年、中国の人件費高騰に悩まされており、さらに人件費の安い東南アジアへのシフトを進めるととともに、生産ラインへの本格的なロボット導入を検討している。
 鴻海は日本メーカーから大量のロボットを購入し、自社工場でテストを繰り返している。いずれは、自社のラインに本格的にロボットを導入するとともに、自らもロボット・メーカーになる意向を持っていると伝えられている。

 産業用ロボットの分野では、日本メーカーが圧倒的な競争力を持っており、これを突き崩すのは容易ではない。この牙城を崩すことが可能となる唯一の、そして最大の方法は、やはり仕様のオープン化ということになるだろう。パソコンと同じように、仕様の共通化を進め、価格破壊を起こそうというわけだが、ここでグーグルと鴻海の提携が意味を持ってくる。
 ロボット制御に関する基本ソフトをグーグルが提供し、アプリケーションの仕様はすべてオープンにしてネット上で入手できるようにする。鴻海はその仕様に基づいた安価なロボットを大量生産し、市場シェアを一気に握るという戦略である。

 グーグルと鴻海がこのような戦略を描いているのだとすると、ファナックや安川電機といった日本のロボット・メーカーは二者択一を迫られることになる。自らもオープン化戦略に乗り、価格破壊の先鞭を付けるか、それとも機能をさらに強化し、高級品に特化するのかという選択である。おそらく日本メーカーの選択は後者だが、これがうまく機能するのかは現時点では何ともいえない。

 もしかすると、安価なロボットの普及はファナックや安川電機といった既存のロボット・メーカーではなく、まったく別の分野に影響を及ぼすかもしれない。
 日本ではロボットに対して付加価値の高い作業を担当させるイメージがある。実際、日本のロボット・メーカーが提供する製品は極めて高価である。だが諸外国では必ずしもそうとは限らない。商品の梱包や並べ替えなど、単純な作業をロボットに置き換えたいというニーズが意外と強いのだ。お掃除ロボット「ルンバ」の開発者が、安価(約200万円)な単純作業用人型ロボット「バクスター」を製品化するなど、その動きはすでに現実のものとなっている。

 日本では中小企業を中心に労働集約的な事業形態を続けているところが多い。諸外国で安価なロボットの導入が進むと、こうした日本の中小企業における価格競争力がさらに低下する可能性も出てくる。鴻海とグーグルによるロボットの価格破壊で最も影響を受けるのはファナックや安川電機ではなく、実は日本の町工場なのかもしれない。

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