ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日本の農作物輸出が過去最大。だが全体から見れば輸出はごくわずかという現実

 

 日本の農作物の輸出が徐々に増加している。農林水産省の調査によると、2013年における農林水産物の輸出は前年比22.4%増の5506億円となり、過去最高を記録した。海外での和食ブームや円安を追い風にアジア向けが大きく伸びたという。

nougyouyushutu

 農業はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の締結を目前に控え、国際競争力の強化が重要課題となっている。そのような環境の中、輸出が増加することは望ましいことといえる。
 だが農業全体、あるいは日本経済全体という視点で眺めてみると、日本の農業輸出はあまりにも規模が小さい。単なる輸出の振興策だけでは根本的な問題解決にはならないという厳しい現実がある。
 TPPを前提にした日本の農業のあり方を考える上では、各論も重要だが、全体的な規模感をよく認識しておく必要があるだろう。

 農作物の輸出額は過去最高となったが、農業全体から見るとその割合はごくわずかである。2013年における日本の農業の総産出額は約8.5兆円あるが、輸出額は全体のわずか6.5%に過ぎない。政府では農作物の輸出額を1兆円に倍増する計画を掲げている。だが、多くの農作物が輸出競争力に乏しいという現状を考えると、輸出振興策の対象となる農作物はごく一部であり、農業全体の底上げには寄与しない可能性が高い。

 しかも日本経済全体という視点ではさらに厳しい現状が浮かび上がる。2013年における日本の輸出総額は約70兆円もある。日本の輸出全体に占める農作物の割合はわずか0.8%に過ぎない。輸出立国日本という観点で考えると、残念ながら農業の存在感はほぼゼロといってよいのが現実だ。
 一方、日本は諸外国から毎年6.5兆円もの食料を輸入している。TPP問題の本質は、国内の農業生産高8.5兆円と食料品輸入6.5兆円の攻防である。

 もし従来の方針通り、自由化が広範囲に実施されれば、食料品輸入と国内農業生産高が逆転する可能性も出てくる。製造業やサービス業などにおける自由化メリットとの総合判断ということになるが、仮に大きな市場を失うとなった場合には、その受け皿をどうするのか真剣に検討する必要が出てくる。

 農業の国際競争力を強化し輸出に活路を見出すというのはごく一部の話であり、大方の農家にとって解決策にはならない。その事実に目をつぶり、単なる一時的なバラマキで問題を解決するような状況となってしまっては、内需の拡大にも寄与しないことになる。

 - 政治, 経済 , ,

  関連記事

jabuil
動き出す農協改革。最初のターゲットがJA全中になる理由

 政府が農協改革に向けて動き始めた。規制改革会議は5月22日、中央組織が地域の農 …

iaea
国際原子力機関(IAEA)が福島の廃炉作業を視察。政府とIAEA側の狙いとは?

 国際原子力機関(IAEA)の調査団は4月22日、約1週間にわたる東京電力福島第 …

pfi
PFIが成長戦略の中核として急浮上。だがその実態はハコモノ行政の維持

 政府の成長戦略における中核的プランとして、民間資金を活用したインフラ整備(PF …

okanekazoeru
スイスで否決のベーシックインカム。だがAI時代の到来を考えると現実的?

 年金など各種の社会保障を廃止する代わりに、すべての国民に一定金額の支給を行う「 …

bukkajoushou
1月の消費者物価指数。円安が一服したら物価上昇も鈍化

 総務省は2014年2月28日、2014年1月の消費者物価指数を発表した。代表的 …

itochu
伊藤忠が取り組む業務朝型化の本質は、フレックス制度の廃止にある

 伊藤忠商事は8月2日、社員の朝型化を目指して、勤務体系の見直しを行うと発表した …

presskiki
企業はまだまだ設備投資に慎重。アベノミクスも最後は米国頼み?

 昨年末から円安と株高が進み、国内の景気見通しも徐々に改善してきているが、企業は …

abe5gatsukeizai
萎む成長戦略。最高裁判断まで出ている薬のネット販売解禁が規制緩和の目玉だって?

 アベノミクスの要として市場から多くの期待を集めていた成長戦略の雲行きが怪しくな …

BBC
公務員根性丸出し!不祥事で引責辞任の英国営放送トップが退職金に異様な執着

 英国の国営放送であるBBCは10日、未成年者に対する性的暴行疑惑をめぐる誤報の …

no image
欧州が教会に対する課税を検討開始。ところで日本最大の税金逃れ団体はどこだ?

 財政危機の欧州で、宗教団体などに対する免税措置を見直す動きが広がっている。   …