ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

東急東横線の列車衝突事故。遠因として囁かれている車両の軽量化

 

 東急電鉄は2014年2月15日、東急東横線元住吉駅で起きた追突事故について記者会見を行い「自動列車制御装置(ATC)は作動していたが、ブレーキが十分に働かなかっ た」と理由を説明した。詳しい事故原因は国土交通省の運輸安全委員会などが調査中だが、雪が車輪とブレーキ・シューの間に挟まって摩擦力が減り、十分減速しなかった可能性があるという。

tokyu5000

 追突事故が発生した2月14日はブレーキが効かず、オーバーランするトラブルが10件発生したとされている。雪が事故の直接的な引き金になったことはほぼ間違いないだろう。
 だが鉄道関係者の中には、もっと本質的な問題が潜んでいる可能性を指摘する声もある。それは車両の過度な軽量化である。

 最近の鉄道車両の多くは、事故を起こした車両も含め回生ブレーキ・システムを搭載しており、車輪とブレーキ・シューの摩擦だけで制動するわけではない。だが当日、ブレーキが効きにくいという報告がいくつも上がっており、回生ブレーキも含めてブレーキが効かなかった可能性がある。もしそうだとすると、雪の影響でレールの上を車輪が滑っている可能性があり、ブレーキ・シューの問題だけではなくなってしまう。

 レールの上を車輪が滑ってしまう理由として考えられるのは車両の重量不足である。鉄道車両が空転することなく動力をレールに伝えるためには一定の摩擦力が必要となるが、それを担保するのは車両の重量ある。したがって鉄道工学上、動力車両の重量はなるだけ重い方がよいとされている。

 一方、重量が重いと消費電力が大きくなり、加速も悪くなる。最近では、コストとスピードアップを優先するため、車両の軽量化が急ピッチで進められている。また台車もボルスタレス台車という簡素で軽量なタイプのものが主流となっている。だが専門家の一部からは、過度な軽量化は脱線の原因になるとして慎重にすべきであるという声が上がっていた。
 このところ鉄道で脱線事故が増えているが、車両の過度な軽量化がその遠因になっている可能性は否定できないのだ。

 軽くて脱線しやすい車両は当然、ブレーキの制動力も弱くなる。もし今回の事故の遠因として車両の軽量化があるのだとすると、抜本的な対策を打つことは容易ではなくなってしまう。今回の事故の最終的な原因はまだ解明されていない。だが大きな事故が起こってからでは遅い。場当たり的な解決ではなく、根本原因を含めた徹底的な調査が必要だろう。

 - 社会, 経済, IT・科学 , , ,

  関連記事

g20sydney2014
経済成長の数値目標が盛り込まれたG20。アベノミクスにも微妙な影響が出てくる可能性

 豪シドニーで開催されていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は2 …

abekeizai201311
公共事業費の抑制をめぐって綱引き激化。財務省が本当に危惧している事態とは?

 2014年度予算の編成作業が大詰めを迎えているが、公共事業費の抑制をめぐって議 …

yanai00
柳井社長が前言撤回?息子が役員に就任したユニクロはホンダの二の舞になるのか?

 ユニクロを展開するファーストテイリリングは2日、柳井正会長兼社長の長男で、子会 …

abe
安倍総裁が国債の日銀引き受けに言及。市場は完全に「円安」を織り込み始めた

 自民党の安倍晋三総裁が、とうとう日銀による国債直接引き受けに言及した。安倍氏は …

ppap
ピコ太郎の世界ブレイクで浮き彫りになった日本の古い音楽産業インフラ

 ピコ太郎の「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」が世界で大ブレイクしてい …

sangiinabe01
総額5.5兆円の補正予算が可決成立。だが昨年より規模が小さく、効果は限定的

 参議院は2014年2月6日、消費税増税をにらんだ経済対策を柱とする2013年度 …

seichounoie
自民党の支持母体とも言われた「生長の家」が参院選で与党不支持を打ち出した理由

 宗教法人「生長の家」が、2016年夏の参議院選挙において与党を支持しないと発表 …

okane201407
インフレが予想されるのに、タンス預金増加の兆候。背景には何が?

 日銀の量的緩和策によってインフレ期待が徐々に高まりつつあるが、一方で、デフレの …

kokusaishushi201412
円安と直接投資の増加で経常収支が改善。急がれる国内産業構造の転換

 財務省は2015年2月9日、12月の国際収支を発表した。最終的な国の収支を示す …

toyamaceo
文科省の有識者委員会で飛び出したG大学とL大学って何だ?

 L大学とG大学というキーワードが教育関係者の間でちょっとした話題になっている。 …