ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

働く高齢者が1割を突破。だが一方で働かなくてよい人との格差は縮小せず

 

 働く高齢者の割合いが就労者全体の1割に達したことが総務省の労働力調査で明らかになった。社会保障費の抑制が叫ばれる中、生涯現役という体制にシフトしつつあることが裏付けられた。
 ただ高齢者の中で働いている人の割合いはさほど増えておらず、働く必要がある人とそうでない人の格差は縮まっていない。

koureishasigoto

 2013年12月の就業者数は6311万人だったが、このうち65歳以上の人は636万人に達し、全体の1割を超えた。日本の財政は逼迫しており、社会保障費の給付抑制が急務となっているが、生涯現役という体制は、社会保障費を抑制する有力な手段となる。今後もこの傾向に拍車がかかってくる可能性が高い。

 ただこうした状況は貧しさの裏返しでもある。欧州では働く高齢者の割合いは数%というところが多いのだが、それは手厚い年金制度でリタイア可能な人がまだ多いことを物語っている。日本は生涯現役に舵を切らないと生活が成り立たないという方が現実に近い。

 日本の高齢者の貧困率は20%に達するといわれているが、これはドイツや英国の2倍近くの水準である。ここまで貧困率が高いのは、先進国では米国くらいしかない。米国ではオバマケアが始まった昨年10月より前は、一部を除いて公的な医療保険や年金制度がなかった。日本には国民皆保険制度があることを考えると、この貧困率の高さは際立っている。

 65歳以上の就業者数が高齢化によって増えているのは事実だが、65歳以上の人で働いている人の割合いは実はあまり変化していない。2003年には19.7%だったが、現在は20.0%に増えたに過ぎない。年金がたっぷりあり、働かなくてもよい大企業の社員や公務員と、生涯働かないと生活できな一般的な労働者の差はあまり縮まっていないのが現実だ。

 ただこうした状況は今だけのことである可能性も高い。今後は大企業の社員でも十分な年金をもらうことが難しくなるため、よほどの富裕層か公務員でない限りは、基本的に生涯労働という形が原則になってくるだろう。ただ、仕事を持っていると病気になりにくいというのは、臨床的にはよく知られており、生涯労働が当たり前になれば、寝たきりとなる人の割合いなども減少するかもしれない。

 高齢化や生産年齢人口の減少は避けて通ることができない課題なので、このことを自体を嘆いても意味がない。生涯労働であることを前提とした制度設計や、生涯労働制度によって若い世代の就労チャンスが奪われないような配慮が必要である。

 - 政治, 社会, 経済 , ,

  関連記事

mof
安倍政権の樹立に財務省が暗躍?財務省はなぜ政界をコントロールできるのか?

 自民党の政権復帰に財務省が大きな役割を果たしたとの噂が広がっている。財務省は悲 …

kokusaishushi201406
上期の経常収支が赤字に。経常赤字を前提にした体制の整備が必要

 財務省は2014年8月8日、2014年上半期の国際収支を発表した。最終的な国の …

mistral
ロシアと欧米の対立で軍艦をロシアに輸出していたフランスの立場が微妙に

 ウクライナ問題によって欧米とロシアの対立が続く中、ロシアに最新鋭の軍艦を提供し …

imf201404
米国依存が鮮明になったIMFの最新世界経済見通し。日欧の量的緩和策が次の焦点に

 IMF(国際通貨基金)は2014年4月8日、最新の世界経済見通しを発表した。2 …

nichigin03
6月の日銀短観。改善が見られるが、大企業中心の産業構造を如実に反映

 日銀は7月1日、6月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示 …

no image
遺伝子組み換え食品に発ガンの可能性と仏が報道。米モンサント社への攻撃か?

 遺伝子組み換え飼料で飼育されたラットは、通常のラットに比べて早く死に、ガンにな …

cameron2
英議会がシリア軍事介入を否決。介入に消極的なオバマ大統領には追い風だが

 シリアへの軍事介入をめぐる状況に変化が生じ始めている。これまでは、英仏が介入を …

orinpic
日本政府の借金1000兆円は、1964年の東京オリンピック開催が発端だった?

 2020年のオリンピック開催地を決定するIOC総会が間もなくアルゼンチンで開催 …

bakkingamu
英連邦やイベロアメリカ連合は国際政治の補助線として今も機能している

 英国と旧英国領約50カ国が加盟する英連邦首脳会議が11月15日、スリランカのコ …

kousakukiki
7~9月期の設備投資の見通しはいまひとつ。10%増税の判断はいかに?

 内閣府は2014年8月14日、6月の機械受注統計を発表した。主要指標である 「 …