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政府主導なのにお金を出すのは中国企業?日本が学んではいけない仏プジョー救済劇

 

 経営不振に陥っているフランスの自動車大手プジョーシトロエングループは2014年2月18日、フランス政府、中国・東風汽車からの資本受け入れを正式に決定した。

peugeot 経営再建の必要性、国内雇用の維持、資金不足という複雑な要因が絡まり、政府主導の救済であるにも関わらず、中国からの支援を受けるという非常にちぐはぐなスキームとなった。
 早くも市場では玉虫色のトロイカ体制について懸念する声が上がっている。日本は官主導の経済運営が強化されつつあるが、今回のプジョー救済劇は政府主導の企業再編がうまく機能しない典型パターンといってよい。日本がもっとも学んではいけない事例といえる。

 フランスは戦後、社会主義的な政策を掲げ、第四共和政以後、積極的に主要企業の国有化を進めてきた。だがプジョーは独立を保ってきた数少ない有力企業のひとつである。フランスの官僚主導経済は、日本と同様、高度成長時代にはうまく機能したが、グローバル化が進んだ現在ではその弊害が顕著になってきている。フランス経済は機能不全を起こしており、グローバル化や自由競争にうまく対応したドイツとの格差は広がるばかりである。

 そのような中、プジョーの経営不振が表面化し、フランス政府の対応は迷走した。政府は正社員の雇用維持を強く求めているが、会社側は大胆なリストラの必要性を訴えている。政府は雇用には口を出したいが、会社を完全に救済する財政的余裕はない。結局、折衷案として持ち上がったのが、資本参加を求める中国企業と共同でプジョーに出資するという今回のスキームである。

 増資が完了すれば、プジョーは約30億ユーロ(約4200億円)の資金を調達できる。中国の東風汽車とフランス政府はそれぞれ14%の株式を持つ大株主となる。一方、25%のシェアを持っていたプジョー創業家の出資比率は14%とフランス政府や東風汽車と同程度まで低下し、経営の主導権を失う。

 同床異夢という言葉がまさにぴったりのこのトロイカ体制には、早くも各方面から不安の声が上がっている。フランス政府は政権の支持率上昇が最優先であり、工場の閉鎖回避や正社員の雇用維持、賃金上昇など庶民に受けの良いプランの実行を強く求めている。
 一方、プジョー創業家は、リストラによる同社の再建を強く望んでいる。東風汽車は、最終的にはプジョーを完全に手中に収めたいという野心を持つ。大株主3社の方向性がまるで異なっており、利害の調整は困難を極める可能性が高い。

 今回の救済は、利害が相反する関係者の対立をとりあえず棚上げにする効果しかなく、早晩この体制は機能しなくなるとの見方がもっぱらだ。政府が会社経営に口を出すのであれば、結果を含めてすべての責任を政府(国民)が負う覚悟が必要となる。だが実際に業務を担当する官僚や政治家が、その責任を負うはずもなく、こうしたスキームは誰の利益にもならない結果に終わることが多い。

 このところ日本は、政府主導の賃上げや業界再編の促進など、産業への国家介入の度合いを高めている。だが中途半端な国家主導経済は、結果的に外国資本の安易な参入を許す結果となりかねない。自国経済を本当に守るためには、あらゆる資本の参加を拒まないことで、逆にどの国も主導権を取れない状況を構築するという、市場メカニズムの特性を最大限活用した方策こそがもっとも効果的である。

 グーグルやアップルには世界中の投資家が投資しているが、投資先としての魅力が大きく、結果としてどの国も両社に影響力を行使することができない状態となっている。両社は正真正銘、米国の国益を代表する企業といってよいだろう。本当の国益とはこのようなことを指しているのだ。

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