ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

目立った成果がないのに日銀の緩和継続のニュースで株価が急上昇した理由

 

 日銀は2014年2月18日、金融政策決定会合において大規模な金融緩和策の継続を全員一致で決定した。また、成長分野などに融資する金融機関向けの低利融資制度の1年延長もあわせて決定した。内容は特に目新しいものではなかったが、株式市場は予想外の反応を見せ、18日の日経平均株価は前日より450円も値を上げて終了した。

nichigin

 金融機関向けの低利融資が延長されれば、金融機関は資金調達がしやすくなるため、融資の増加に何らかのプラス効果があることは間違いない。ただこれが日経平均を450円も上げるほどのインパクトがある政策なのかという点については疑問の余地が残る。

 市場関係者の多くは、今回の市場の反応は日銀に対する追加緩和の催促であると解釈している。内閣府が発表した2013年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比プラス0.3%、年率換算ではプラス1.0%と低迷している。2013年は年初に実施した大型公共事業の効果から前半は好調だが、後半は減速するという見方が一般的であった。また今年は消費税の増税が控えており、今年前半を中心にさらに景気が落ち込むことが予想されている。

 このため市場では、安倍政権が第2次補正予算を編成したり、日銀に追加の量的緩和を要求するのではないかという見方が以前から高まっており、投資ファンドなどもそれを前提にしたポジションを組んでいるといわれている。

 今回、融資延長というちょっとした話題で株価が大きく上昇したのは、市場に政策期待が充満していることの証拠というわけである。空売りをかけていたヘッジファンドが利益確定の買い戻しを行った可能性もあり、真偽のほどは定かではない。だが、少なくとも追加緩和や第2次補正予算編成が市場で既定路線になりつつあるのは事実である。

 財政面、金融面で追加の景気対策が実施されれば、とりあえず株価は持ち直し、GDPの減速も最小限に抑えることができるかもしれない。だが問題はその後である。追加緩和と補正予算を執行してしまえば、持っているカードはすべて使い尽くしてしまったことになる。その後、大きな反動が来る可能性があることを考えれば、最後のカードは温存しておきたいところである。

 規制緩和を軸とした成長戦略を打ち出し、その後の継続的な景気回復につなげるという当初の戦略が行き詰まっている以上、追加緩和という最終手段が持つ意味は大きい。その行使のタイミングをいつにするのかをめぐって、安倍政権は難しい判断を迫られることになる。

 - 政治, 経済 , ,

  関連記事

factoryline
全世界的に製造業が回復基調。9月の量的緩和縮小の可能性が高まる?

 全世界的に製造業の景況感が改善してきている。米供給管理協会(ISM)が発表した …

shukinpei04
習主席の米国訪問日程が近付く。ささやかれ始めた首脳会談の本当のテーマ

 中国の習近平国家主席は、5月31日から6月6日の日程で、トリニダード・ドバゴ、 …

hageljinin
オバマ外交を象徴する閣僚の一人、ヘーゲル国防長官が突然辞任

 オバマ大統領は2014年11月24日、ヘーゲル国防長官が辞任すると発表した。オ …

simsriron
とうとう出てきた悪魔の囁き。財政拡張で脱デフレを実現するという新経済理論

 金融緩和だけではなく、財政出動によって物価目標を達成すべきという、事実上のヘリ …

ibmrometti
苦戦続くIBM。人工知能に市場は反応せず、ドル高がダメ押し

 米IBMは2015年4月20日、2015年1~3月期の決算を発表した。売上高は …

mof
10年後には国債1000兆円との財務省試算。だが前提条件が甘く、現実はもっと厳しい

 財務省は3月6日、国債の残高が10年後の2022年度末に1000兆円を超えると …

may
英国首相に実務派のメイ内相が就任。市場には安心感が広がる

 英国の次期首相を選ぶ保守党の党首選は2016年7月11日、テリーザ・メイ内相と …

rodman02
金正恩氏とバスケ観戦をしたロッドマン元選手の前にコカコーラが置いてあったワケ

 北朝鮮の金正恩第1書記は28日、平壌市内の体育館において、北朝鮮を訪問中の全米 …

nsaberlin
米国の電話盗聴問題、徐々に具体的手法が明らかに。ドイツの場合は携帯の直接傍受

 米国の諜報機関による外国要人の盗聴問題に関して、徐々にではあるが盗聴の具体的な …

BBC
公務員根性丸出し!不祥事で引責辞任の英国営放送トップが退職金に異様な執着

 英国の国営放送であるBBCは10日、未成年者に対する性的暴行疑惑をめぐる誤報の …