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政府内部で法人税減税の議論が始まる。問題の本質は課税ベースの拡大にあり

 

 政府内部で法人減税に関する具体的検討が始まった。経済財政諮問会議2014年2月20日、法人税の実効税率を下げても税収が増えた海外の事例について議論を行った。法人税の減税については、税率と税収の関係に焦点があたっているが、議論の本質はそこではなく、課税ベースの拡大にある。

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 減税しても税収が伸びるというロジックは、1980年代、米国のレーガン政権の経済政策であるレーガノミックスで積極的に採用された。経済学者ラッファーがレストランのナプキンに記したラッファー・カーブと呼ばれるモデルが有名である。
 レーガノミックスでは、大胆な減税と規制緩和で経済成長を促進し、税収のマイナスを補うという考え方であった。だが今回議論されている税率と税収の関係は少し様子が違う。

 経済財政諮問会議の民間議員がまとめた報告によると、税率を引き下げても税収が増加した例として、英国、ドイツ、韓国などが引き合いに出されている。だがドイツの例では経済成長による税収増を課税ベースの拡大などによる税収増が上回っている。英国も3分の1が制度的な要因での税収増となっている。

 これは何を意味しているかというと、制度上、これまで法人税が免除されていた所得についても課税対象に広げることで、税率を下げたとしても、税収増を実現できるということである。具体的には租税特別措置の廃止などが考えられる。

 租税特別措置とは、特定業種の税金を優遇する制度のことである。現在、日本の法人税の実効税率は35.7%と相対的に高いといわれている。しかし実際に日本の企業が支払っている法人税はもっと少ない。実は製造業を中心に「租税特別措置」という優遇税制があり、実質的には25%程度しか税金を支払っていない企業が多いのだ。

 租税特別措置の適用を受けた件数は、2012年度は約132万件あり、全体の適用金額の合計は4兆4000億円にも上る。全体の4分の1が製造業と建設業で占められており、各項目においてはさらに特定企業に適用が集中するケースが多くなっている。
 優遇措置の適用を受けたい業種は積極的なロビー活動を行うことになるため、この制度は政治的利権の温床になりやすい。また政治力を持たないベンチャー企業や外資系企業にはほとんど適用されないので、市場の不透明さを助長するとの指摘もある。

 日本は景気回復の足取りが弱く、法人税を減税しても税収だけが減ってしまうのではないかと危惧する声も多い。基本的に財務省は減税に慎重な構えを崩していない。しかし、諸外国の例を見ても分かるように、課税ベースを拡大し、法人税をより公平でフラットなものに改正すれば、減税の効果を得ながら、税収の落ち込みを最小限にとどめることが可能となるはずだ。ちなみに経団連は租税特別措置の廃止に否定的な見解を示している。

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