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労働者の賃金がさらに減少。賃上げ実施後もあまり期待できない理由とは?

 

 厚生労働省は2014年2月20日、2013年賃金構造基本統計調査の結果を発表した。フルタイムで働く労働者の月額賃金は前年比で0.7%減少して29万5700円となった。賃金が減少するのは4年ぶりで、男女ともに減少するのは初めて。

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 賃金が低下したのは、非正規労働者が増加したことが主な原因。安倍政権は企業に対して賃上げを要請しているが、正社員と非正規社員の格差、あるいは男女格差が縮まらないと、全体の賃金を上昇させることは容易ではないという現実を浮き彫りにしている。

 正社員の賃金は31万4700円だったが、非正規社員の賃金は19万5300円とかなり低い。正社員の賃金も下落してはいるものの、全体的には非正規社員の数が増えたことが大きく影響している。2012年から2013年にかけて正社員の数は46万人減少しているが、非正規社員の数は逆に93万人も増加した。

 今年は安倍政権が企業に対して賃上げを強く要請していることから、賃金上昇が期待されている。しかし2013年で見られたような、非正規社員の増加という流れが継続してしまうと、全体の賃金が容易には上昇しないという現象が発生する可能性がある。

 これは男女格差についても同様である。2013年の賃金について男女別で見てみると、男性は前年比で0.9%減少しているが、女性は0.2%の減少にとどまっている。これは女性の登用があまり進んでおらず、もともと賃金が低いため、それほどの下落につながっていないことが原因である。

 日本の社会保障制度はすでに限界に達している。今後は各種給付の削減が続く可能性が高く、それに伴って就業者数は増加していくことになる。現在、女性の就業者数は男性の75%程度であり、今後大幅に就業者数が増えるのは女性である可能性が高い。女性の相対的な賃金は安いことから、これも全体の賃金低下圧力につながってくる。

 賃上げを行い労働者の可処分所得を増やすことは、単体としては意味がある。だが、それが経済全体にどれだけのメリットをもたらすのかは労働市場の構造に大きく左右される。正規社員と非正規社員の格差問題や、男女格差問題などを同時並行で改善していかないと、大きな効果は得られない可能性が高い。

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