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安倍政権が閣議決定で憲法解釈見直しを行う理由とその影響

 

 安倍首相は2014年2月20日の衆院予算委員会において、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の見直しについて、閣議決定を実施する方針であることを明らかにした。これまで政府の憲法解釈については基本的に内閣法制局が実務を行ってきたが、閣議決定という政治主導を明確にした形で進められる可能性が高くなってきた。

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 安倍首相は、憲法解釈の見直しを実施するため、内閣法制局長官に集団的自衛権の行使に前向きとされる小松一郎駐仏大使を起用していた。本来であれば、従来と同様、小松長官を中心に内閣法制局が憲法解釈見直しに関する実務を行い、国会答弁などを通じて確立されていくことが想定されていた。
 だが今回、わざわざ閣議決定を実施することを明らかにした背景には、小松長官の健康状態があるといわれている。小松長官は1月24日から検査入院し、ガンであることが明らかになっている。抗ガン剤治療の後、2月24日から職務復帰を果たしているが、病状があまりよくないという報道もある。安倍氏はこうした事情を総合的に考え、早い時期に閣議決定するという方針を明確にしたと考えられる。

 憲法解釈の見直しに反対する勢力からは、閣議決定による見直しは、恣意的な運用であると批判の声が上がっている。ただ、もともと行政府の一組織にすぎない内閣法制局が憲法解釈の実権を握っていたことについて、議会制民主主義の観点から問題視する意見があったのもまた事実である。
 日本における最終的な違憲立法審査権は最高裁にあるが、日本の違憲審査制度は付随的違憲審査制と認識されており、最高裁は憲法裁判所とはみなされていない。したがって、国民から選ばれた政治家で構成される内閣において、まず行政府としての憲法解釈を決定するというのは、スジが通っているともいえる。

 安倍氏はたびたび「法の支配」という言葉を用いている。おそらく安倍氏の頭の中には、自然法的理解によって集団自衛権の行使は現憲法下で容認されるとの認識があると考えられる。集団的自衛権を認めた国連憲章についても自然権としての集団的自衛権を条文が追認したと解釈している可能性が高い。もしそうであれば、内閣法制局による見解が解釈見直しの障壁になっていたという過去の経緯は、安倍氏にとってほとんど無意味ということになる。

 ただ自然法的理解による憲法解釈の見直しが容認されることは、右傾化傾向を強めているといわれる安倍政権にとっては、諸刃の剣となるかもしれない。
 自然法的理解が優先されるのであれば、非民主的な法律や憲法はことごとく無効となる。形式的法治主義に近いとすらいえる条文第一主義で法の運用を行ってきた日本政府にとっては、自然法的理解や法の支配という概念は、むしろ好ましくない存在である可能性が高い。自然法的理解では、特定秘密保護法も場合によっては無効になるかもしれないのだ。
 安倍氏は今後、憲法改正にも着手したいという政治的野心を持っているが、過度に国民の義務を規定するような憲法改正案が出てくることになれば、自然法的理解において無効であると批判されてしまう可能性もある。

 いずれにせよ閣議決定での憲法解釈見直しが実施されれば、戦後日本の憲法問題に関する重要な転換点となることは間違いない。

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