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首相が公的年金の運用を多様化する方針を表明。具体的な投資対象は未確定

 

 安倍首相は2014年2月24日の衆院予算委員会で、公的年金の運用方針を見直す考えを明らかにした。公的年金の運用方針見直しについては、すでに昨年11月、国債を中心とした従来型ポートフォリオの見直しを求める有識者会議の報告書が出ている。首相の見解はこの方向性をあらためて確認するものとなった。

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 日本の公的年金はこれまで国債を中心に運用を行ってきた。報告書では「インフレ環境へと移行しつつある我が国経済の状況を踏まえれば、国内 債券を中心とする現在のポートフォリオの見直しが必要」と述べており、日本経済がインフレに向かいつつあることを明言し、国債中心の運用からの脱却を求めている。

 アベノミクスによる物価上昇が現実のものになると、金利の上昇が起こる可能性が高い。金利の上昇は国債価格の下落を意味するので、現在、年金の運用を担当している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)には損失が発生する可能性が出てくる。
 またインフレ下では一般に株価の上昇が見込めるため、株式を中心に、REIT(不動産投資信託)や商品(コモディティ)などへの投資を実施することで、年金のリターンを増加させることもできる。

 首相が国会で方針を明確にしたことで、GPIFにおける具体的な作業が今後、さらに加速してくることになるだろう。ただ株式やREIT、コモディティは、いわゆるリスク商品であり、リターンも大きい代わりにリスクも大きいという特徴がある。運用に失敗すれば、逆に将来の年金の給付に支障を来す可能性もある。今のところGPIFではどこまで運用対象を広げるのかについては明らかにしておらず、具体的な投資対象が何になるのかはまだ不透明だ。

 もっとも、GPIFが運用方針の見直しを実施する背景には、さらに切実な事情もある。現在、GPIFの資産は120兆円ほどあるが、年金の徴収よりも給付の方が大きく、運用資金は毎年3兆円から4兆円ずつ減少している。何もしなくても、単純計算であと30年から40年で運用原資が底をついてしまうのだ。従来のような国債中心の運用では、年金給付を大幅に削減しない限り、資金がなくなってしまう可能性が高いのだ。

 これまで国債一辺倒だった年金の運用方針変更を歓迎する声がある一方、年金の運用は安全第一であり、リスクを取るべきではないという意見も根強い。
 運用対象が株式までなのか、商品先物などにも範囲を広げるのかで、リスクとリターンはかなり変わってくる。またその比率がどの程度なのかによっても結果は大きく異なる。具体的な運用対象に関する議論が始まるこれからが、年金運用改革の本番といえるだろう。

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