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職場で電話を取りたがらない若者急増中。だが世代間ギャップの話にするのは危険

 

 最近、会社内において電話を取れない(取らない)若手社員が増えているという。デジタル・ネイティブ世代において、電話は極めてパーソナルなものであり、共有というという概念が薄いことが原因だという。また皆が使った電話機は汚くて使いたくないという言い分もあるという。

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 ここまでは最近よく見られる、いわゆる世代間論争であり、中高年向けの媒体では「デジタル・ネイティブ世代のコミュニケーション・ギャップで中高年が苦慮している」といった切り口になるのかもしれない。
 だが近年取り沙汰される、若手社員と中高年社員のギャップという問題の背後には、日本の業務プロセスのあり方という根本的なテーマが隠れていることが多い。今回の電話論争もそのひとつと考えてよいだろう。

 オフィス向け電話(いわゆるビジネスホン)が持つ機能は、日本企業の業務プロセスを色濃く反映している。海外で仕事をしたことがある人は常識かもしれないが、ビジネスホンの機能は国によって全く異なっている。
 日本では外線を受けると、その回線を保留にし「佐藤さん4番に電話です」といって取り次ぐという光景はまだ日常的である。業界用語ではライン・キーと呼ぶが、米国や英国の電話には基本的にこうした機能は一切ない。各自が固有の電話番号を持っており、留守番電話機能が各自に備わっている。また誰かが代わりに受けたとしても、内線番号を押して直接転送してしまうことがほとんどであり、そもそも電話を共有するという概念が存在していない。
 これほどグローバル経済が発達しているのに、電話機で外国製が非常に少ないのはこういった事情が大きく影響している(これもガラパゴスの一つかもしれない)。

 要するに日本の職場は、もともと責任の所在がはっきりしておらず、誰かがその場で対応するというのが原則になっている。コストという問題もあるが、電話機が共用になっているというのは、そういった意味合いが大きいのだ。

 共用の電話を取りたがらない若手が、個人で完結し、成果も自己責任とする欧米型の職場環境を本当に望んでいるのかどうかは定かではない。だが業務範囲が不明確な日本の職場環境に対する違和感を持っている人が多いのは間違いないだろう。「他人からの電話に出るのが怖い」「不潔」といったキーワードの背後にはこうした問題が存在している可能性が高いのだ。

 電話の共有と、個人で完結しない日本型業務プロセスには密接な関係があるのだとすると、欧米型のビジネスホンを導入し、すべての業務とその結果責任を個人に完結させれば、こうした問題は起きなくなる可能性が高い。そうなると次に浮上してくるのは、個人の結果責任を、給与や昇進にどう反映させるのかという、いつもの成果主義の問題に突き当たる。

 多くの中高年社員は望まないだろうが、完全自己完結型の業務プロセスを導入した場合、これまで電話に出たがらなかった若年層はどう振る舞うのだろうか?これは中高年にとっても同じことだが、共有電話に助けられ、まともな電話マナーを持っていなかったビジネスマンは個人電話に移行することであっという間に駆逐されてしまうことになる。
 成果次第で減給、降格も当たり前になるくらいなら、汚い共用電話でも出ようと思うのか、それと電話マナーも含めてすべて自己責任という職場を喜んで受け入れるのか。もし後者なら、成果主義への移行は意外と簡単かもしれない。

 世代間のギャップで苦労している職場は多いかもしれないが、こうした問題の発生は、従来型業務プロセスを見直すよいきっかけと考える方がよい。少なくとも、高度成長型の業務プロセスが機能不全を起こしつつあるのは事実であり、その改善策を考えることこそが日本企業において取り組むべき課題といえる。

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