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香港で開催予定のAPECが突然北京に変更。背景には行政長官の普通選挙問題?

 

 香港政府は2014年2月25日、9月に香港で開催が予定されているAPEC(アジア太平洋経済協力会議)について、中国政府の指示で北京に変更になったことを明らかにした。香港と中国は現在、行政長官の普通選挙実施をめぐってギクシャクした関係にあり、北京への突然の変更はこうした事情が影響しているとの見方が出ている。

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 香港では9月のAPEC開催に向けて準備が進められていた。突然、香港政府が北京への変更を発表したことで混乱が広がっている。ただ、こうした事態には伏線があった。
 中国の政府系シンクタンクは、次回の香港行政長官選挙で反中国的な人物が当選した場合には、香港基本法の解釈変更が必要との見解を示していた。香港では多くの人が、今回の開催地変更は、普通選挙実施をめぐる中国側の圧力のひとつであると考えている。

 中国はいわゆる「一国二制度」と呼ばれる方式を採用しており、香港には一定の自治権が付与されている。香港の統治はミニ憲法ともいえる香港基本法が基準となっているが、香港基本法の解釈に関する権限は香港の司法である香港法院が持っている。だが、中国政府と香港に関係する部分については、中国の全人代常務委員(全国人代表会議常務委員会)が最終権限を持つとされており、これまで3回、中国側は解釈権を行使している。

 現在、香港では民主派を中心に、普通選挙による香港行政長官選挙を求める声が高まっている(現在は制限間接選挙)。次の長官選挙は2017年だが、具体的な選挙方法をめぐって親中派と民主派での争いが続いている状況だ。

 今回、北京へ変更する表向きの理由は、APECは議案が多く、香港のリソースでは対処が難しいというものである。だが、昔から世界的な国際都市であった香港でAPECの会議を開催できないはずはなく、民主派は普通選挙の実施に関する中国の圧力であると批判を強めている。

 もっとも香港内部でも、中国に対するスタンスは様々だ。完全な親中国派という人もいるが、ビジネスマンの多くは、とりえあず面従腹背していればよいという現実主義的な立場を取っている。ただ普通選挙の実施ということになると、反中国的な雰囲気が高まってくる可能性もあり、中国側は神経をとがらせている。
 今のところ大規模な運動に発展する状況ではなく、中国側もあまり強権的な印象を与え過ぎないよう留意する状態が続いている。だが普通選挙の実施をきっかけに、こうした対立構造が先鋭化する可能性もある。

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