ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ネットワークの負荷を増大させる動画配信サービス。コストは誰が払うのか?

 

 米オンライン動画配信大手ネットフリックスは、米ケーブルテレビ大手のコムキャストに対して、ネットワーク利用料を支払う契約を締結した。米国では動画配信サービスが急拡大しているが、ネットワークの負荷が大きくなりすぎることが問題視されており、誰がそのコストを負担すべきなのか議論されていた。今回の事例によってコンテンツ事業者が費用を負担する流れが確立する可能性がある。

netflix

 ネットフリックスは、もともとDVDのレンタル事業者として成長してきた企業だが、最近では月額固定料金で映画やドラマをネット配信するサービスに移行している。すでに全世界における配信サービスの利用者数は4000万人に達するという。

 米国はケーブルテレビの普及率が高く、多くの家庭が、ケーブルテレビの回線でテレビ番組を見たり、インターネットを利用している。コムキャストは米国でも有数のケーブルテレビ事業者だが、同社はネットフリックスによる動画配信が自社のネットワークを圧迫しているとして、ネットフリックス側に利用料の支払いを求めていた。今回はネットフリックス側が折れる形で支払いに応じることになった。

 米国では動画配信サービスが急拡大しており、ネットワークのトラフィックの3割を占めるまでになっているという。今後もこの割合いが増えることが予想されており、今のままではネットワークの容量が足りなくなってしまう。これを回避するためには、容量を拡大するための設備投資を積極的に実施すればよいわけだが、問題は誰がその費用を負担するのかである。

 回線事業者にとっては、自社だけでこれに対応するのは不公平と考えており、大容量のトラフィックを発生させるコンテンツ事業者に相応の負担を求めている。今回、有力なコンテンツ事業者が支払いに応じたことで、今後こうした流れが加速する可能性がある。

 トラフィックの多くを占めるコンテンツ事業者が応分の支払いをすることは合理的ではあるが、一部にはネットワーク中立性という観点からこの解決方法に批判的な人もいる。

 米国では、インターネット上を流れるデータはすべて公平に扱うべきという議論がある。対価を払わないとデータを流さない、あるいは多くの対価を払った事業者のデータを優先して流すことになってしまうと、結果的にデータの内容を差別してしまうことになる。この問題はネットワーク中立性と呼ばれている。今回のケースがネットワークにおける中立性を著しく侵害するとは考えにくいが、こうした事例が増えてくれば、データの内容に偏りが生じる可能性はゼロではない。

 またケーブルテレビ事業者は、回線提供者という立場ではコンテンツ配信業者とはパートナーだが、自身もコンテンツを提供していることから、部分的には競合になる。ネットフリックスが急成長したのはケーブルテレビの月額料金が高いことがひとつの要因となっており、両者は顧客を奪い合っていると見ることもできる。

 ネットフリックスはまだ日本ではサービスを行っていないが、同じく米国の「hulu」は日本に進出している。また国内の動画配信事業者も増加してきており、徐々に利用者が増えてくる可能性が高い。まだ先のことかもしれないが、日本でも動画配信事業者のトラフィック問題が浮上してくる可能性もある。

 - 経済, IT・科学 ,

  関連記事

soros
ソロス氏がまたまた大儲け。ウォール街の鬼門といわれた円安で大勝利

 米国の著名投資家であるジョージ・ソロス氏が、昨年11月からの円安で巨額の利益を …

nenkinportfo
公的年金の新ポートフォリオ、年間最大損失21兆円をどう見る?

 公的年金の運用が国債から株式にシフトしつつあるが、現在想定されているポートフォ …

nichia
従業員の発明による特許も基本的には企業帰属へ。職務発明制度の見直しがスタート

 政府は、企業の従業員が仕事で発明した「職務発明」の特許について、その権利を従業 …

oecd
OECDが付加価値ベースで見た自国産出割合を発表。日本は世界1位なのだが・・・

 経済協力開発機構(OECD)は5月28日、世界貿易機関(WTO)と共同で、貿易 …

doragi201710
ECBが量的緩和策の大幅縮小で出口戦略へ。日銀も撤退を余儀なくされる?

 ECB(欧州中央銀行)は2017年10月26日に開催された理事会で量的緩和策の …

yasai
韓国で野菜の流通コスト高が政治問題に。だが日本はもっとひどいぞ!

 韓国の朴槿恵新政権の重要な政策課題の一つが、割高といわれる韓国の流通コストの改 …

borubo
仏マクロン政権がガソリン車の販売禁止を提言。ボルボなど欧州メーカーもEVシフトへ

 フランスのマクロン政権が、2040年までにガソリン車の販売を禁止するという野心 …

imfasia
IMFがアジアの成長率見通しを公表。結局は中国頼みという構図が明らかに

 IMF(国際通貨基金)は4月29日、アジア太平洋地域の経済見通しを公表した。そ …

contena04
中国経済の失速がさらに鮮明に。だが日の丸製造業の凋落が皮肉にも中国リスクを軽減?

 中国国家統計局は7月15日、4~6月期の国内総生産(GDP)を発表した。物価の …

eigokyoiku
バイリンガル国家マレーシアにおける最大の課題は何と英語力不足

 バイリンガル国家として知られるマレーシアにおいて、理数系科目の授業を英語で行う …