ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

1月の消費者物価指数。円安が一服したら物価上昇も鈍化

 

 総務省は2014年2月28日、2014年1月の消費者物価指数を発表した。代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」は前年同月比でプラ ス1.3%と先月に引き続いて上昇となった。「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」についても0.7%の上昇となっている。
 ただ上昇幅はいずれの指数も先月と同じ水準にとどまった。物価上昇傾向はより鮮明となっているが、円安が一服したことから、上昇ペースそのものは鈍化している。

bukkajoushou

 アベノミクスがスタートして以降、物価は上昇に転じている。日銀が設定している2%の目標値にはまだ達していないが、デフレの状態から脱したことは間違いない。だが物価が上昇したのは、景気回復を反映してというよりも円安による輸入物価上昇の影響が大きいというのが現実である。

 エネルギー輸入価格への依存度が大きい電気料金をはじめとして、旅行代金やAV機器、衣類など、為替の影響を受けやすい品目の価格上昇が著しく、これに引きずられる形で他の品目も価格が上昇してきた。つまり輸入物価上昇によるインフレである。
 実際、円安が一服した昨年後半以降、物価上昇のペースは鈍化してきている。今後も継続的な物価上昇を望むのであれば、もう一段の円安が必要ということになる。

 現在、安倍政権は産業界に賃上げを要請しているが、内需拡大による物価上昇ではないので、物価上昇ほどに賃金が上がるのかは不透明である。1年間で1.3%の物価上昇ということになると、生活実感として物価が上がったことが認識され始めるレベルだ。賃金上昇がうまくいかないと、国民の不満が大きくなるかもしれない。

 また物価上昇の鈍化は量的緩和策そのものにも影響を与える可能性がある。量的緩和策は市場にインフレ期待を起こし、実質金利の低下や消費の増加を狙うという政策である。量的緩和策をうまく機能させるためには、物価の先高感が継続する必要がある。
 今年は消費税の増税が控えており、政府も景気減速を予測している。円安の一服と合わせて、品目によっては価格が横ばい、あるいは下落するものが出てくると、市場のインフレ期待が萎む可能性もある。
 日銀に対してはすでに追加緩和の圧力が高まっており、市場もそれを折り込みつつある。追加緩和が実施されれば、株高と円安が復活するかもしれないが、それも消費増税によるマイナス影響とのせめぎ合いとなるだろう。

 これはいつもの議論の繰り返しになるが、量的緩和策を継続的な景気拡大につなげていくためには、適切な成長戦略が必要となる。だが成長戦略に関する議論は実質的に停止した状態にあり、大きく進展する可能性は少ない。今年は昨年に比べて、物価や景気の見通しが不透明になりやすいだろう。

 - 経済

  関連記事

setubitousi
1月の機械受注はわずかに減少。1~3月期のGDPにはどう影響する?

 内閣府は2015年3月11日、1月の機械受注統計を発表した。主要指標である 「 …

IBM Lenobo
IBMの低価格ハード部門は中国企業へ売却。富士通でなかったのはかえって好都合?

 中国のパソコン・メーカーであるレノボ・グループ(聯想集団)は2014年1月23 …

g20german
G20の声明文から反保護主義の文言が消滅。今後は露骨なパワーゲームの時代へ

 ドイツのバーデンバーデンで開催されていたG20(主要20カ国の財務相・中央銀行 …

irisoyama
TPPを見据えアイリスオーヤマが農業ビジネスに本格参入。流通改革の手本となるか?

 農業分野においてTPP(環太平洋パートナーシップ協定)締結後を見据えた動きが活 …

no image
オークションサイトをめぐる芸能人のステマが問題に。だが巨悪は別に存在する

 ペニーオークションに関する芸能人の「ステマ」に関して批判が集中している。実際は …

kuroda02
日銀サプライズ追加緩和。長期金利を意識したものだった可能性も

 日銀は10月31日の金融政策決定会合において、追加の量的緩和策を決定した。追加 …

borubo
仏マクロン政権がガソリン車の販売禁止を提言。ボルボなど欧州メーカーもEVシフトへ

 フランスのマクロン政権が、2040年までにガソリン車の販売を禁止するという野心 …

Conde Nast Building
ニューヨークの景観論争で浮き彫りになった?日本の規制の実態

 ニューヨークの超高層ビルの看板をめぐってちょっとした論争が起こっている。場所は …

bouekitoukei201303
円安の効果も半減?日本の輸出数量減少に歯止めがかからない!

 財務省は4月18日、3月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易 …

abekaiken
成長戦略の目玉である産業競争力強化法案は、規制緩和に関する規制を強化する法案?

 安倍政権は、秋の臨時国会において成長戦略の目玉とされる「産業競争力強化法案」を …