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日テレが動画配信サービスHuluの日本事業を買収。テレビ局による囲い込みか?

 

 日本テレビ放送網は2014年2月28日、動画配信サービス「Hulu」の日本市場向け事業を買収すると発表した。Huluは、ブランドや技術に関するライセンスを新しく設立する日本市場向け新会社に移管し、日テレはその新会社を子会社化することで日本の事業を引き継ぐ。

hulu

 Huluは米国を本拠地とする定額制の動画配信サービス企業で、日本市場には2011年9月に進出している。現在、月額980円でインターネットを通じて1万本以上の映画やドラマが見放題というプログラムを提供している。

 米国では定額制のネット動画配信サービスが急拡大しており、最大シェアのネットフリックスは全世界で4000万人の利用者がいるといわれている。Huluはネットフリックスと比較すると規模は小さく、今のままでは全米でのシェア拡大は難しい状況だ。

 米国とは異なり、日本では有料の動画配信サービスはまだあまり普及していない。ただ最近はHulu以外にも、TUSTAYA-TV、U-NEXT、Gyao!ストアなど、各社のサービス競争が激しくなってきており、Huluも日本市場での認知度が高まってきていた。ただ競争が激化する米国市場の状況を考え、すべてのリソースを米国に集中するため、国内事業の売却に踏み切ったものと考えられる。

 一方、日テレがHuluを買収した背景には、日本でもそろそろ有料動画配信サービスが本格的に立ち上がるという読みがあったと考えられる。日本は米国と異なり、地上波のテレビ局は政府の規制で保護されており、圧倒的に有利な立場にある。インターネットによる動画配信サービスは、地上波の寡占を切り崩す原動力となる可能性があるが、同社は早めにこれを押さえた格好だ。

 日テレは今年1月に玩具大手タカラトミー傘下のアニメ制作会社タツノコプロを買収している。タツノコプロは「ガッチャマン」や「ヤッターマン」など幅広い年齢層にアピールできるコンテンツを揃えている。日テレはテレビ局の優位性を確保するため、コンテンツを囲い込むと同時に、コンテンツ配信チャネルについても影響力を行使しようとしている。

 放送分野の規制緩和が進んでいる米国では、コンテンツを制作する会社と配信する会社の分離が進み、従来型のテレビ局というものはすでに存在していない。コンテンツ製作会社は複数の配信ネットワークにコンテンツを提供することも多く、人気番組が、複数の局で視聴できることもある。

 日本の場合は、政策の大きな変更がなければ、当面テレビ局の圧倒的な優位が続くことになる。今回のHulu買収のように、テレビ局主導でコンテンツや配信チャネルの囲い込みが強化される可能性も出てきたといえるだろう。

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