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ロシア軍がウクライナ南部をほぼ掌握。脳裏をよぎるのはかつてのクリミア戦争?

 

 ウクライナ南部のクリミア半島でロシア軍と見られる部隊が展開し、半島全域をほぼ掌握しつつある。クリミア半島にはロシア系住民が多く、ロシア軍の基地がある。東西冷戦時代のような対立構造が生まれつつあり、予断を許さない状況となっている。

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 クリミア半島では2014年3月2日、ロシア軍と見られる部隊がウクライナ軍関連施設の制圧を開始し、半島全域をほぼ掌握した。
 部隊は正規のプレートを付けず、国旗も掲げていないが、ロシア軍であることは明らか。クリミア半島は、ロシア系住民が多く、ロシアの海軍基地もある。新政権から任命されたばかりのウクライナ海軍のベレゾフスキー総司令官は、2日声明を発表し、親ロシア派のクリミア自治共和国に忠誠を誓った。ロシア軍が進駐し、ウクライナ軍の司令官もロシア側についたことで、クリミア半島は完全にロシアの影響化に入った。

 オバマ大統領は、プーチン大統領と電話で1時間半にわたり協議し、このままロシア軍が介入を続ければ、6月にロシアで開催予定の主要国首脳会議(サミット)準備会合に参加しないと通告した。しかしプーチン大統領は、ウクライナのロシア系住民の安全を確保する権利があるとして、米国の要求を拒否した。軍事力を背景に周辺諸国を制圧し、これに米国や欧州が反発するという、東西冷戦のような状態になりつつある。

 だが歴史的に見れば、東西冷戦よりもさらに既視感の強い出来事がある。それは1800年代にロシア対欧州という図式で発生したクリミア戦争である。
 1800年代、帝政ロシアはトルコ領内のキリスト教徒保護をめぐってトルコと対立。英・仏・トルコ対ロシアで戦闘となり、クリミア半島を中心に黒海全域や他の地域に戦闘が拡大した。ロシアはクリミア半島の要塞を守りきれず敗北し、ロシアの拡大策は失敗に終わった。クリミア戦争の敗北は最終的にはロマノフ王朝の弱体化とロシア革命という帝国崩壊プロセスにつながっていく。

 ロシアにとってはクリミア半島は地政学的、歴史的に重要であり、かつ国の根幹に関わる場所と認識されている。当時と現在では国際情勢は異なるが、基本的な利害関係は同じである。そうであればこそ、ロシアは現在もクリミア半島に黒海艦隊の基地を置いている。かつてのロシアと同様、周辺への拡大政策を取るプーチン政権にとって、クリミア半島は容易に手放すことができない場所といえるだろう。

 潜在的に欧州とロシアは利害が対立する構造にあり、かつての戦争の多くは、その潜在的対立構造がその大きな要因となっている。今回のウクライナ問題は、欧州とロシアという対立構造を再び表面化させることになってしまったようだ。

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