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閣議公表が実現できたのは閣議形骸化が進んでいるから?だが立法は行わず

 

 安倍首相は、2014年4月から閣議と閣僚懇談会の議事録を作成し、これを公表する方針を明らかにした。これまで閣議は非公開であり、実施されれば「憲政史上初めての取り組み」(安倍首相)となる。

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 だが公開については閣議決定するのみで立法措置を伴わないため、内閣が変われば方針が変わる可能性がある。また閣議の形骸化はかねてから指摘されている問題だが、今回の決定によってその状況にさらに拍車がかかる可能性も指摘されている。

 当初、政府内部では、法改正を行い30年後に公文書館で公開するという本来の情報公開のあり方を軸に公開手法を検討していた。だが安倍政権は法改正は行わず、閣議決定で定めるという方針に転換した。
 安倍氏は「閣議決定であれば速やかな公表が可能」と述べ、迅速な対応であることを強調している。だが本来の情報公開の趣旨から考えると、これはあまり前進しているとは言い難い。

 民主国家において国民は主権者であり、原則としてすべての情報について国民は知る権利を持っている。だが国際社会の現実を考えればすべての情報をリアルタイムでオープンにすることが国民の利益につながるとは限らない。そこで発達してきたのが、情報公開のルールを法律で定め、一定期間が経過したものについては、原則としてすべて公開するというルールである。

 時間が経過すれば歴史的出来事となり、すべてを公開しても国民が大きく不利益を被ることはない。一方で国民の知る権利は担保され、公職に就いた人については歴史がその成果を評価することになる。これは民主国家における長年の議論の末たどり着いた知恵といってよいだろう。

 だが今回の措置はこうした基本原則からはずれている。立法措置を伴わないため、次の内閣でも同じ方針が維持されるのか保障はない。そして何よりも閣議の形骸化が進む可能性が高い。
 閣議は行政府における最高意思決定機関であり、本来は侃々諤々の議論があってよい。だが即時公開では、微妙な問題について思い切った発言をする閣僚はいなくなり、官僚が上げてきた閣議案件をただ淡々と処理するだけという状況になりかねない。
 というよりも閣議がすでに完全に形骸化しているからこそ、情報公開の対象になったとも考えることができる。

 今回、安倍政権が情報公開の方針を打ち出した背景には、特定秘密保護法をめぐる国民からの反発や、連立を組む公明党に対する配慮があるといわれている。今回の措置によって、こうした反発の声を抑制することができるのかは微妙な状況である。

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