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大都市の世界物価ランキング。日本は円安で改善したが、喜んでもいられない

 

 英経済誌エコノミストの調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は2014年3月4日、生活費の高い都市ランキングの結果を発表した。円安の進展で東京は昨年の1位から6位と一気に順位が変わった。昨年2位だった大阪がランク外になるなど、円安の影響が大きいことが分かる。

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 この調査は、世界140都市について、食料や衣料、家賃など160項目以上の価格を調べ、米ドルを基準に比較したもの。
 昨年は東京が1位で大阪2位だったが、東京は1992年の調査以降、1位にならなかったのは今回を含めて7回だけしかなく、毎年、日本の物価の高さが際立つ結果となっている。

 今回、円安によって一気に順位が変わったわけだが、注意しなければならないのは、かなり以前から東京の物価は高かったという点である。日本は円高ではあったが、デフレであったのも事実である。つまり日本は継続したデフレ下にありながらも、物価は世界最高水準だったのである。円高とデフレはコインの裏表の関係にあるが、不況でデフレの国がもっとも物価が高いというのは少々異常なことである。

 日本の物価が高いのは、政府の規制で保護される企業が多いことに加え、複雑な流通システムによって、商品が消費者に渡るまでに多くの中間業者を経由するからである。例えば、日本の航空運賃は欧米の1.5倍を超える水準だし、食料品の価格は基本的に高い。

 日本はデフレと騒がれながら、実は国内の物価はあまり下がっていなかった。価格破壊が起こっていたように見えたのは、AV機器など国際的な価格競争が激しい製品の値下がりが目立っていたからである。また円高によって輸入製品の価格が見かけ上、安くなっていたことも大きい。

 だが日本の非効率な経済構造は基本的に変わっておらず、今後はそこに円安が加わることになる。円安になれば、輸入物価が上昇することになる。いくらグローバルな調査でドルベースの物価が下がったといっても、ほとんどの日本人は円の経済圏で生活している。国内では輸入物価が上がれば生活は苦しくなるのは当然である。円安が原因の今回の順位変動はあまり喜べるものではないだろう。

 ちなみに今回の調査で1位となったのはシンガポールであった。2位はパリ、3位はノルウェーのオスロとなっている。シンガポールは成長著しい都市国家でありもともと物価が高い。最近は人件費の高騰が激しく、さらに物価を押し上げた。パリも物価が高いことでは有名な街であり、ノルウェーは1人あたりのGDPが日本の2倍もある圧倒的に豊かな国である。経済的に苦境に立たされているパリの順位が上がったのは少々意外だが、上位3カ国の顔ぶれは妥当なところといえるだろう。

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