ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

理化学研究所が内外からの声に対応して、STAP細胞の詳細な作成手順を公開。

 

 理化学研究所は2014年3月5日、新しい万能細胞「STAP細胞」の詳細な作成手順を公開した。STAP細胞については、同研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーを中心とする研究チームが、英科学誌ネイチャーで論文発表を行っていた。画期的な研究であるとして世界中の注目を集めていたが、国内外の研究者から「実験を再現できない」との報告が続いていた。今回の措置はこうした声に対応したもの。

stapsaibou

 小保方氏らの研究は、これまで大変な手間と労力をかけなければ作ることができないとされてきた万能細胞を、ただ酸に浸すだけで作ってしまうという、あまりにもあっけないもの。
 万能細胞の分野では京都大学の山中教授のiPS細胞が有名だが、この分野にはすでに100億円以上の国家予算が投入されている。小保方氏の研究はこうした既存の研究をすべて水の泡にしてしまう可能性を秘めている。

 そのせいか、小保方氏が論文を発表して以降、学会では大変な騒ぎとなり、一部からは研究成果の捏造を疑う声も出てくるという状況であった。

 通常、こうした科学論文で実験手順の詳細まで公表されることは少ない。詳細な実験手順の中に、研究の根幹を成すノウハウや知見が含まれていることが多いからだ。新しい研究成果が出ると、追試(第三者がその真偽を確かめる作業)が行われるが、追試は手探りで実施されることも多いのが現実だ(論文の中にはかなり意図的に実験手順を隠したものも結構ある)。
 だが小保方氏の研究はあまりにもインパクトが大きく、多くの人が論文を参照し、追試を行ったと考えられる。このため追試に関する疑問が殺到した可能性が高い。

 画期的な研究成果は多くの人がそれを検証することで、明確な理論として確立する。こうした情報公開は理論の正しさを証明するための重要な手続きといえる。だが産業化を見据えた上での研究ノウハウ蓄積という意味では、早い段階での情報公開はマイナスとなる。小保方氏や理化学研究所はこのあたりのバランスを考えながら、可能な限りの情報公開を実施するという難しい舵取りが求められる。

 実験の再現性や理論の正しさという点については結論が出ていないので、小保方氏の研究成果についてはまだ何ともいえない。ただ、こうした過剰ともいえる周囲の反応が、小保方氏というこれまで目立った業績のなかった若手女性研究者というプロフィールによってもたらされているのだとすると、それはあまり合理的な話ではなく、サイエンスの世界とは正反対の現象ということになるだろう。

 - 社会, IT・科学 , , , ,

  関連記事

gunosy01
KDDIがニュース閲覧サービスのGunosyに出資。一気にマス・マーケット化が進むか?

 KDDIは2014年3月14日、ネット上でニュース配信サービスを手がけるベンチ …

keri
米国人はバカになる権利がある!ケリー国務長官が世界に突き付ける本質的テーマ

 欧州を歴訪中のケリー米国務長官が訪問先のドイツで行った講演が、ちょっとした話題 …

yahootumblr
米ヤフーがSNS+ブログの新興企業タンブラーを買収。ただ両社の融合には疑問符も

 米ヤフーは、ブログとSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を手掛ける …

nenkinkiko
個人情報流出の日本年金機構。年間の情報システム経費は何と1000億円!

 日本年金機構は2015年6月1日、年金情報を管理しているコンピュータに外部から …

wallstreet
富の偏在が進む米国。だが日本もそれに劣らない格差大国

 米国で100万ドル(約1億円)以上の金融資産を持つ世帯が1000万世帯に達しつ …

shakaihoshokokuminkaigi03
社会保障制度改革国民会議の最終報告。年金は現状維持で、世代間不公平は解消されず

 社会保障制度のあり方に関して議論する政府の「社会保障制度改革国民会議」は8月5 …

nihonchokuhan
TV通販の日本直販。TV局にしがみつき粉飾にまで手を染めたがとうとう行き倒れ

 最大3メートル伸びる「高枝切りばさみ」などのアイデア商品で知られる「日本直販」 …

seiketsudo
世界の汚職調査ランキングが話題に。でもどうやって調べているのか?

 ドイツを本拠地する非政府組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナル …

francisco1
秘密厳守なのになぜか漏れてくる新ローマ法王「フランシスコ1世」の得票数

 秘密厳守が徹底され、情報を外部に漏らしたら即破門といわれるローマ法王の選出会議 …

jfk
ケネディ元大統領の暗殺から50年。米国は人種問題を本当に克服したか?

 ケネディ元大統領が暗殺されてから11月22日で50年となる。米国ではオバマ大統 …