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厚労省が年金の維持可能性検証をスタート。全国民・生涯現役が必須要件か?

 

 厚生労働省は、長期間にわたって年金を維持することが可能なのかについての検証作業を本格化する。2014年3月6日に開いた有識者会議では、今後の検証作業の基準となる経済の前提条件を提示した。これをもとにシナリオ別の検証作業を行い、6月をメドに結果を公表する。

 shogaigenneki 年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)には、現在120兆円ほどの運用資金があるが、年金の徴収よりも給付の方が大きく、運用資金は毎年3兆円から4兆円ずつ減少している。何もしないと、30年から40年で運用原資が底をついてしまう状態にある。

 年金の収支が維持できるかどうかは、最終的には保険料と給付水準の関係で決まってくる。この部分に歪みがなければ、長期的には賃金上昇率と運用利回りに依存するといってよい。
 過剰な給付をせず、賃金上昇率を上回る利回りがあれば、基本的に年金は維持することが可能となる。このため検証作業においては、賃金上昇を上回る利回りが安定的に確保できるかという部分にまず焦点をあてている。

 厚労省では2009年にも年金の維持可能性に関する検証を行っているが、当時の試算では運用利回りを4.1%とかなり高く設定していた。これに対しては年金制度を現状維持するという視点から逆算したものではないかという批判が出ていた。今回の試算では、長期的な経済成長予測モデルを活用し、シナリオ別に経済予測を行った上で、持続可能性を検証する。

 2023年までは内閣府がまとめている経済予測を用いるが、それ以降については独自モデルで経済成長を予測した。アベノミクスが成功し経済成長が長期的に続くケースや2024年以降はマイナス成長となるケースなど8つのパターンを用意した。
 もっとも楽観的なシナリオでは、2024年以降の平均的な実質GDP成長率を1.4%とし、想定される運用利回りは5.5%程度とした。もっとも悪いシナリオではGDP成長率がマイナス0.4%程度、想定される運用利回りは2.3%となっている。

 GDP成長率と運用利回りの関係については、いろいろと議論の対象となる可能性があるが、経済が好調であれば、想定利回りの達成はより容易になってくる。重要なのはやはり経済予測の前提条件そのものということになるだろう。

 ここでの試算には生産関数と呼ばれるモデルが使われているが、数値を決定する主な要因は、投下資本量、投下労働量、技術革新の3つである。楽観的なシナリオでは、高齢者や女性など、潜在的な労働力の多くが労働市場に参加することが前提となっている。また技術革新についても、現在の水準よりも上昇するとしている。

 最終的な検証結果を見ないと確かなことは言えないが、持続的な経済成長を実現することが、年金の維持可能性を高めるという結論になる可能性が高い。結局のところ、すべては経済成長にかかっているわけだ。少なくとも、女性や高齢者の多くが労働市場に参加するという「国民全員が生涯現役」という社会にならないと年金の維持は難しそうである。

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