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太陽光発電の買い取り価格が2年連続で引き下げの見込み。36円は高いか安いか?

 

 経済産業省は、太陽光発電の電力買い取り価格を昨年に続いて引き下げる方針であることが明らかとなった。日経新聞の報道によると、2013年は1キロワット時あたり37.8円(税込み)だったが、これを36円台とする。

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 現在、太陽光を含む再生可能エネルギーは、固定価格買い取り制度に基づき、電力会社が10年~20年間、一定価格で買い取ることが義務付けられている。
 再生可能エネルギーは既存の発電施設よりも発電コストが高く、こうした制度がないと事業として成立しないからである。買い取りのコストは電気料金に上乗せされる形で消費者が負担し、買い取り価格については経産省に設置された委員会が毎年見直すことになっている。

 太陽光パネルは基本的に付加価値の低い商品であり、コモディティ化による価格低下が急激に進んでいる。電力会社による買い取り価格は、国から発電計画の認定を受けた時点のものが適用されるため、早めに計画の認定を受けて工事着工を遅らせれば、パネルが値下がりした分だけ事業者はより多くの利益を手にすることができる。このため、認可だけを受け、工事を遅らせるという悪質なケースも散見されるようになっている。

 制度が始まった2012年の買い取り価格は40円だったが、パネル価格の下落で連続して買い取り価格が引き下げとなった。最近はパネル価格の下落も鈍化してきていることから、今後は36円程度の水準で収束する可能性が高くなってきた。

 ちなみに一般家庭の電気料金は、利用状況や地域にもよるが1キロワット時あたり30円程度が標準的である。火力や水力といった既存の発電所はこの範囲で設備投資や燃料費をカバーしている。だが再生可能エネルギーの場合には、事業者が適性な利益を得ようと思った場合には、36円程度の買い取り価格が必要となる。既存のエネルギー源と比較すれば非常にコストが高いことが分かる。
 また国際的に見て日本の電気料金はかなり高い。州にもよるが米国と比較すると2倍近くの水準となっており、消費者の負担は重い。

 経済産業省では2016年をメドに家庭用電力料金の自由化を実施する予定だが、実際にどの程度の価格低下が見込めるのは実際にやってみないと分からない。また原発の再稼働問題やコスト評価のあり方についても最終的な結論は出ていない。

 日本の電力については、国際的に見て料金が高いという問題、原発の再稼働問題、原発のコスト問題、再生可能エネルギーの普及問題という4つのファクターがある。今のところそれぞれの問題はバラバラに議論されていて、論理的なまとまりを欠いている。国のエネルギー基本計画が固まる時期でもあり、そろそろ日本の電力に関する包括的かつ国民的な議論が必要なタイミングといえる。

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