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賃上げ拒否にはペナルティという甘利氏の発言は日本に何をもたらすか?

 

 政府が賃上げを行わない企業に対する締め付けを厳しくしようとしている。甘利経済再生担当相は2014年4月11日の記者会見で「(賃上げを実施しない企業に対しては)経済産業省から何らかの対応がある」と述べ、暗にペナルティがあることを示唆する発言を行った。

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 甘利氏の発言に対しては、企業活動への政府の過度な介入であるとして批判の声が上がっている。だが甘利氏の発言については、その内容はもちろんのこと、企業の賃金の仕組みや成長戦略の基本的理解について、政府と民間の間に埋めようのないギャップが存在していることを再認識させてしまったようだ。

 甘利氏は企業が賃上げを実施すべき理由について「政府は復興特別法人税の減税を前倒しして、原資を渡している。利益が上がっているのに何もしないのは非協力的」と述べている。甘利氏の理解では、減税によって企業の手元に残った資金は利益という認識があるようである。また減税分を原資に賃上げをすべきと主張しているということは、政府のお金を企業を通じて個人に移転する、つまり政府支出であると認識していることになる。

 企業が賃上げに慎重なのは、賃上げを行えば企業の利益が減ってしまうからである。もう少し細かくいうと、減税が行われれば、企業の最終利益は増加し内部留保は増えることになるが、本業の儲けである営業利益や経常利益は増加しない。いくら減税によって一時的に手元資金が増えたとしても、給料の増額で毎年の利益が減ってしまうので、企業はそう簡単には決断しない。

 また企業の賃上げが経済的に効果があるのだとすると、それは、賃上げによって個人消費が増加し、次年度以降の企業収益も増加するという正のスパイラルが想定されているからである。政府が税として徴収した資金を民間にバラ撒くことであるという認識では、既存の公共事業と同じ結果になってしまう。減税によって得られる資金を最初のトリガーとするという意味であったとしても、アベノミクスにおける成長戦略に対する解釈と根本的に矛盾する可能性がある。

 こうした理論的な部分はともかく、現実にはさらにマイナスの影響が大きいかもしれない。安倍政権では、法人税減税などを通じた海外資本の国内投資拡大を掲げている。だが政府の賃上げに応じない企業にはペナルティを科すという趣旨の発言は、他の民主国家からみれば、驚愕の内容である。海外企業の多くは、日本に対して中国やロシアのような国を想像してしまうだろう。法人税を減税したところで、このような市場に積極的に投資をする外国の優良資本は少ない。

 10日に発表された2014年1月の経常収支は過去最高水準の赤字となった。日本は望むと望まざるとに関わらず、海外からのファイナンスが必要な段階に入っている。このような状況において、良質な海外資本を誘致することは、安定した経済成長にとって重要なテーマなはずである。甘利氏の発言は、こうした状況に対してボディーブローのように影響を及ぼしてくる可能性がある。

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