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日本の労働力人口は女性フル活用でも大幅減。豊かさの維持には生産性向上が必須

 

 内閣府は2014年3月12日、長期の労働力人口予測をまとめた。50年後の労働力人口は、出生率が大幅に回復し、北欧並みに女性や高齢者の労働参加が進んでも1170万人減少し、現状維持の場合には2782万人も減る。このケースでは潜在的な経済成長率は0.9%減少することになる。

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 経済が成長する要因は、大きく分けて2種類あるといわれている。ひとつは資本投入、もうひとつは労働投入である。
 両者の投入量以上に経済が成長した場合には、事後的にそれはテクノロジーなどによるイノベーションがあったと解釈する。投下される資本が変わらないと仮定した場合、労働力人口が減少すれば、経済成長も鈍化することになる。

 日本は人口減少することが確実な状況となっている。従来の成長を維持するためには、労働力人口を増やすか、イノベーションを強化して、同じ資本や労働から得られる成長率を高くする必要がある。労働力人口の増加策としては、女性や高齢者の労働市場への参加を促すことが考えられる。

 だが現在の状況が継続すると、2060年における労働人口は3795万人となり、2013年との比較で2782万人も減少してしまう。少子化対策を実施するとともに、女性の社会進出を徹底的に進め、スウェーデン並みにした場合でも、1170万人分の労働力人口が減少する。

 そうなってくると日本の成長率を維持するためには、イノベーションが非常に重要ということになる。どうすればイノベーションを活発化できるのかについては明確な解答があるわけではない。だが過去の例を見ると、イノベーションが活発な国は、女性の社会進出にも積極的である。
 イノベーションは経済学的にはTFP(全要素生産性)という指標で表される。TFPは時代によっても異なるが、フィンランドやスウェーデン、米国など女性の社会進出が活発な国は、総じてこの数値が高い(韓国のように女性差別が激しい国でも、TFPが高いという例外もある)という傾向がある。もしそうなのだとすると、女性活用は日本にとって議論の対象ではなく、もはや必須の課題ということになる。

 いずれにせよ、日本が現在の豊かさを保ち、年金など社会保障を維持可能なものとするためには、男女の区別なく全員が生涯労働するという環境が必要であることはほぼ間違いない。その上で、付加価値の高い産業へのシフトを進め、生産性を高めていく努力が必要になると考えられる。

 今回の試算結果は、中長期的な日本経済における課題を議論する有識者委員会に提出され、今後の議論とベースとなる。

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