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富の偏在が進む米国。だが日本もそれに劣らない格差大国

 

 米国で100万ドル(約1億円)以上の金融資産を持つ世帯が1000万世帯に達しつつあることがコンサルティング会社の調査で明らかになった。

wallstreet

 米国の調査・コンサルティング会社スペクトレム・グループは2014年3月10日、住宅を除く純金融資産が100万ドルを超えている世帯の数が2013年には963万世帯であったとする調査結果を発表した。
 リーマンショック直後には670万世帯まで落ち込んでいたが、金融危機直前の水準まで回復したことになる。100万ドルを超える世帯は2012年からの比較では60万世帯以上も増加しており、お金持ちはますます金持ちになっている状況がうかがえる。

 日本では米国は一部の人に富が集中した不平等な国というイメージが強く、マスコミの報道もそのような論調が主流である。確かに米国は富の偏在が激しく、一部の人が多くの富を独占しているというのは事実である。だが日本が米国と比べて圧倒的に平等かというとそうでもない。

 米国の総世帯数は約1億2000万(2010年)なので、今回の調査結果をこれに当てはめると、8%の世帯が資産1億円以上を保有していることになる。一方、日本でも貯蓄が4000万円以上ある世帯の割合いは8%程度ある(貯蓄のみで金融商品は含まれない)。
 4000万円と1億円の違いはあるが、日本でもお金持ちはかなりの数にのぼる。一方で、貯蓄が300万円に満たない世帯が25%存在しているという事実を考えると、日本も少数の富裕層に富が偏在していると解釈することが可能だ。

 米国が日本と最も異なっているのは、富裕層の資産が全体の富の7割を占めているという点である。一方、日本は資産4000万円以上の人が持つ富の全体に占める割合は40%程度である(日本の場合は二人以上の世帯が統計の対象なのでまったく同一には比較できない)。つまり米国は数少ない超富裕層が全体の数字を引っ張っているが、数千万円以上をお金持ちとするなら、日本も米国もたいして変わらないということになる。
 また日本の家計調査は貯蓄だけが調査対象となっている。富裕層は貯蓄の他に株式などを保有しているが、中間層以下の株式保有率は非常に低い。日本の富裕層が持つ金融資産は実際にはもっと多いかもしれない。

 日本は年間の所得という点でも、弱肉強食の代名詞といわれる米国社会並みになってきている。年間所得が全体の中央値の半分に満たない相対的貧困率は、日本と米国はほぼ同水準であり、欧州の2倍以上もある。

 米国では富の偏在が社会問題となっており、最近では攻撃対象がウォール街だけでなく、グーグルなどIT企業にも向くようになっている。一方の日本では表面的にはそうした動きは見られない。日本は多くの人が、格差社会であることをすでに受け入れているのか、それともそうした不満はマグマのように地下に溜まっているのか、果たしてどちらなのだろうか?

 - 社会, 経済 , ,

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