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ロシアと欧米の対立で軍艦をロシアに輸出していたフランスの立場が微妙に

 

 ウクライナ問題によって欧米とロシアの対立が続く中、ロシアに最新鋭の軍艦を提供しているフランスの立場が複雑になってきている。ただ、米国や欧州各国も、ロシアとのこれ以上の対立は望んでおらず、フランスは今のところ輸出を継続する方針だが、一部では見直しを検討しているという報道もある。

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 ロシアは現在、フランスに対して最新鋭のミストラル級強襲揚陸艦2隻を発注しており、うち1隻は2014年中に配備される予定となっている。強襲揚陸艦は主に上陸作戦を支援するための艦船で、上陸部隊や物資を目的地まで運んだり、ヘリなどを使って上陸支援を行うことなどを主な用途としている。また指揮艦としての役割や病院船としての役割も備えている。

 米軍はアジア太平洋地域の紛争を想定し、日本の佐世保に強襲揚陸艦3隻を配備している。朝鮮半島や中国大陸で有事が発生した際には、沖縄の海兵隊が揚陸艦を使って上陸作戦を実行することになる。国内配備をめぐって問題になった新型輸送機オスプレイも強襲揚陸艦での運用を想定した機材である。

 ロシアは軍事大国というイメージが強いが、地理的条件から良質な港をあまり持っておらず、海軍力は思いのほか貧弱である。また経済規模があまりにも小さく(ロシアのGDPは200兆円程度しかなく、米国の7分の1、日本の半分以下という水準)、高価な艦船を自前で大量に建造できるほどの経済的余裕を持っていない。またロシアの艦船は先進国の艦船と比べて燃料効率が3分の1程度といわれており、技術面での遅れが決定的な状況となっている。

 ミストラル級の強襲揚陸艦は、民間の船舶基準で建造されたコストパフォーマンスの高い艦船といわれている。ロシアはこれを2隻発注しているほか、乗員の訓練などもフランスに委託している。最終的にはロシア国内で同型鑑を2隻建造する計画もあるといわれている。

 ロシアが発注した2隻のうち1隻は太平洋への配備が決まっており、日本や中国に対して影響力を誇示するために使われる可能性が高い。特に日本との北方領土交渉を有利に運ぶための材料ともいわれている。
 もう1隻の配備場所は決まっていないが、ロシアによるクリミアの事実上の併合は、クリミア半島の海軍基地の維持が目的といわれている。最終的な配備場所がどこであれ、ロシア海軍が強襲揚陸艦を保有するという事実は、ロシア海軍のプレゼンスを拡大させることにつながるだろう。

 フランスのファビウス外相は、ロシアへの艦船提供を見直す計画はないとしており、フランスのサン・ナザール造船所では2隻目の建造が着々と進んでいるという。とりあえずはロシアとの軍事的な協力関係をそのまま維持したい考えだ。ただ、一部の報道では、政府内部でロシアへの輸出を停止する措置について検討を始めているとされる。
 フランスは武器の輸出に積極的な国であり、かつてフォークランド紛争が発生した時には、アルゼンチンに輸出していたフランス製のミサイルが英国の艦船を攻撃するという事態に陥ったこともある。

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