ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

北京に引き続き、パリでも深刻な大気汚染。原因は本当に自動車なのか?

 

 中国の北京に引き続いて、フランスのパリで大気汚染が深刻化している。フランス政府はパリ市内への車の乗り入れを規制する措置を行っているが、今のところ目立った効果はない。
 とりあえず自動車の排気ガスがヤリ玉にあがった形だが、自動車の規制は無意味だとする見解もある。いずれにせよ、先進国では消滅したと思われていた大気汚染がいまだに大きな社会問題であることを印象付ける形となった。

pariosen

 欧州は歴史的な暖冬となっており、フランスではここ数日、かなり暖かい日が続いていた。気温の上昇と無風が重なり大気汚染が深刻化したという。
 フランスでは自動車の排気ガスがその主な原因とみなされており、パリ市内では3月17日から自動車のナンバープレートによる乗り入れ規制が始まった。偶数と奇数の自動車は1日おきに運転することができなくなっている。ディーゼル車の割合いが極めて高いことも深刻化に拍車をかけているといわれる。

 一方、中国の大気汚染の最大の原因は自動車ではなく、郊外にある工場や発電所で燃やされる石炭といわれている。石炭が原因の場合には空が黒っぽい色になるといわれており、中国の状況はまさにそれに該当する。また夜間でも汚染が深刻化するという状況からも、それをうかがい知ることができる。石炭による大気汚染は産業革命以後、多くの工業国が経験してきたことであり、19世紀のロンドンやパリは常に空が薄暗かったといわれている。

 これに対して、自動車が原因の大気汚染は戦後の石油社会がもたらしたものである。自動車は主に昼間に動くことや、太陽光と反応して光化学スモッグ発生させることから、昼間に汚染が深刻化することが多い。日本も昭和40年代には、光化学スモッグが大きな社会問題となっていた。

 ただ自動車の排気ガスは技術革新によってめざましく改善しており、最近の自動車が排出する排気ガスはもはや一般的な大気の水準と変わらない水準といわれている。
 このためフランスでは、本当に自動車の排気ガスが原因なのか疑問視する声も出始めている。中国ほどではないにせよ、暖房用の石炭や暖炉の排気など、古典的な汚染物質はまだ存在しており、自動車を制限するだけでは効果がない可能性もある。

 大気汚染は、多くの先進国においてすでに過去のものと考えられてきた。以前ギリシャのアテネで大気汚染が社会問題になったことがあったが、欧州ではかなり貧しい部類に入るギリシャ特有の問題と思われていた。しかし、フランスで深刻な大気汚染が発生しているという現状は、気象条件が変われば、先進国でも容易に大気汚染が引き起こされる可能性があることを示唆している。

 日本では中国からの汚染物質の飛来が大きな問題となっているが、日本自身が大気汚染を引き起こす可能性についても、まったく無縁ではいられないのかもしれない。

 - 社会 ,

  関連記事

akachan
日本経済が人口減少の影響を受けるのはこれからが本番

 厚生労働省は2014年1月1日、最新の人口動態統計の結果を発表した。それによる …

tabakohaian
見送りの可能性も出てきた受動喫煙防止法案。日本は2周回遅れへ

 今国会での審議が予定されていた受動喫煙防止法案の提出が見送られる可能性が高くな …

roujin03
イタリアで若者のために高齢者の早期退職を促す動き。だが社会全体の負担は増加?

 改正高齢者雇用安定法の施行によって、日本では生涯を通じて働くことが可能になって …

asukuru
アスクルの火災。経営への影響は限定的だが,今後のサービス競争では不利に

 火災が続いていたアスクルの物流倉庫がようやく鎮火した。現時点において、事故の原 …

kindorupaper
いよいよキンドルが日本上陸。自費出版サービスもスタートし、出版社は戦々恐々

 アマゾンがとうとう電子書籍端末「キンドル」を国内で販売開始する。同社の日本法人 …

bunen02
タバコのない五輪が微妙な状況に。完全禁煙はもちろん分煙についても異論が続出

 厚生労働省が導入を検討している本格的な受動喫煙対策について、自民党内で反対意見 …

00008
フランスのマスゴミがGoogleから75億円をゲット。だがまだまだ嫌がらせは続く

 米Googleが新聞社のコンテンツをタダ乗りしているとして、検索結果の表示に課 …

no image
銃撃で死亡した山本美香氏。ビデオジャーナリストの実態はTV局の下請労働者

 内戦が続くシリアで日本人ジャーナリストの山本美香氏が銃撃を受けて死亡した。勇気 …

shakaihoshokokuminkaigi
世代間不公平は考慮せず。社会保障制度改革国民会議の報告書案はかなり後ろ向き

 政府の「社会保障制度改革国民会議」は7月29日、年金や医療など社会保障分野の改 …

businessphone01
職場で電話を取りたがらない若者急増中。だが世代間ギャップの話にするのは危険

 最近、会社内において電話を取れない(取らない)若手社員が増えているという。デジ …