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安倍首相が配偶者控除の廃止を指示。是非を議論できる段階は過ぎている

 

 安倍首相は2014年3月19日、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議において、専業主婦がいる世帯の所得税を軽減する配偶者控除の縮小・廃止を検討するよう指示した。安倍政権は成長戦略として女性の活用を掲げているが、専業主婦を優遇する措置を廃止することで、女性の社会進出を促す。

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 現在の制度では、基本的に共働きよりも、専業主婦世帯を優遇する仕組みになっている。
 会社員の夫と専業主婦の妻という世帯の場合、妻の年収が103万円以下であれば、妻には所得税がかからず、夫の税額も減額となる。つまり、国として専業主婦世帯が望ましいと定義してきたわけである。
 この制度が廃止されると、103万円以下の低い年収で仕事をするメリットが薄れることになる。より高額の年収を目指してフルタイムなどで働く女性が増えることが予想され、これによって安倍政権が掲げる女性の社会進出が実現することになる。

 配偶者控除の廃止については賛否両論がある。だが、冷静に現在の日本が置かれた状況を判断すれば、もはや全員が生涯労働をしなければ、年金や医療といった社会保障制度を維持できないというのが現実であることがわかる。女性の社会進出は成長戦略でも何でもなく、これ以上貧しくならないための最低ラインなのである。

 日本は人口の減少が進んでいる。50年後の日本の労働人口は、北欧並みに女性や高齢者の労働参加が進んだとしても1170万人減少する見込みである。もし現状維持となった場合には、潜在的な経済成長率は0.9%減少することになる。これは30年続けば日本の富が相対的に30%近く失われてしまうレベルである。
 バブル崩壊後、日本がゼロ成長を続ける中、先進諸外国はGDPを1.5倍~2倍に増やしてきた。為替を考慮に入れても、日本はこの20年ですでに他国より20%近くも貧しくなっている。ここからさらに30%も貧しくなってしまっては、目も当てられない状況である。

 人口を増やさずに経済成長率を上げる方法はあるが、それは米国のように金融サービスへとシフトするか、ドイツのように弱い産業を徹底的に切り捨てるというグローバル主義的な改革が必要となる。日本では構造改革路線は事実上、民意で否定されていることから、この路線を選択することはできない。残る手段は、男女問わず、全員が死ぬまで働くという方法になる。

 人口を増やせばよいという意見があるが、今となっては逆効果である。人口減少がすでに始まっている状況で無理に出生率を上げると、高齢者と子供という扶養されるだけの世代の割合が急上昇してしまう。現在の若者世代が中年になった時、大量の高齢者に加えて大量の子供までも扶養することになり、負担の大きさに耐えられなくなってしまうだろう。人口を急に増やすことは今となってはむしろ危険な政策なのである。
 失われた20年に何もしてこなかったという現実はあまりにも重い。だが変化を嫌い、前に進まなかったのは日本人自身の選択であり、今後の環境についてはそれを甘んじて受け入れる以外に方法はない。

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