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資金循環統計を見れば、アベノミクスでお金がどう動いたのかが分かる

 

 日銀は2014年3月25日、2013年10~12月期の資金循環統計を発表した。家計が保有する金融資産の残高は12月末時点で前年比6.0%増の1645兆円だった。アベノミクスによる株高を反映して株式関連の資産増加が目立ったが、庶民の懐はまだあまり潤っていない。

 nichigin 資金循環統計は、家計や企業、金融機関など部門間のマネーの流れを調べるもので、4半期に1回発表されている。この統計を見れば、日銀の量的緩和やアベノミクスによってお金の流れがどう変わったのか知ることができる。

 12月時点の状況を前年同期と比較してみると、家計部門では資産の合計が1552兆円から1645兆円と93兆円増加した。これは率にすると約6%である。このうち現預金の増加は2.3%なのに対して、株式は38.5%の大幅増となっている。この1年で株価は1.5倍に上がっているので、家計の金融資産も株高という市場環境を反映したといってよいだろう。
 米国は多くの中間層が株式を保有し株高の恩恵を受けられるが、日本の場合、株式を保有しているのはほとんどが富裕層である。このため、アベノミクスによる株高で資産を増やしたのは、今のところ富裕層に限定されているということになる。

 一方、企業は資産を135兆円も増やしている。株式は56%の増加となっており、ここでも株高の影響が色濃く見られる。ただ企業は対外直接投資を40%近くも増加させている。大企業を中心に日本企業は過去最高水準の利益を上げているが、その利益を海外への投資に回している様子がうかがえる。対外直接投資の増加は、日本の経常赤字化を緩和する効果があるので、日本全体としてみれば、それなりに効果があるといってよいだろう。

 量的緩和策とアベノミクスの最大の狙いは、金融機関の貸出が増え、自立的な経済成長が実現することである。だがこの点についてはまだ不十分である。
 金融機関の貸出は1年間で4.4%しか増えておらず、しかも事業会社向けの貸出の伸び率は1.8%とさらに低い。一方金額としての割合は少ないが、政府向けの貸出は5.5%と大きく伸びている状況だ。民間企業の活動が活発になり、融資が増加する状況にはまだなっていない。

 安倍政権は財界に賃上げを強く要請してきたことで、今年の春闘では一定の賃上げが実現した。消費税の増税という逆風もある中、賃上げの効果がどの程度なのかについては、次回以降の資金循環統計を見れば、よりはっきりしてくることになるだろう。

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