ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ヤマトの新しいサービスは、日本のネット通販の中国販路拡大に寄与するか?

 

 宅配大手のヤマトホールディングスは2014年3月24日、日本のネット通販事業者が中国の利用者に手軽に商品を配送できるサービス「ヤマトチャイナダイレクト」を同社の子会社を通じて提供すると発表した。頭打ちが予想されている日本のネット通販の起爆剤になることが期待されている。

yamatochina

 一部の報道ではヤマトが本格的に中国進出といった論調になっているが、実際のサービスはニュアンスがだいぶ異なる。中国向けの荷物の配送はかなり以前から日本郵便がEMS(国際スピード郵便)のサービスを提供しているし、ヤマトも国際宅急便というサービスがあり、中国全土への配送がすでに可能だ。

 今回のサービスにおける中国国内の配送は上海郵政(EMS)が担当するので、ヤマトが直接中国に進出するわけではない。むしろ日本の通販事業者が中国向けの発送をしやすくするという意味で、国内向けのサービスと考えた方がよいだろう。

 中国における日本製品の人気は高く、日本のネット通販事業者から商品を購入したいという潜在的な顧客は多い。だが、個人使用であっても、品目や量によっては税関当局から商業目的とみなされ、輸入許可が下りないことも多い。関税が発生する事態になった場合、中国の購入者は一部地域を除いて直接郵便局に関税を支払わなければならず、この作業が煩わしため、返品となってしまうケースが後を絶たないといわれている。このため中国向けに商品を出荷する日本のネット通販事業者は、これまで多くの返品に悩まされてきた。

 ヤマトチャイナダイレクトでは、サービスを契約した国内の事業者に対して、中国の通関業務に関する詳細な情報を提供する。また集荷の際に、中国で輸入が可能な商品なのかについてヤマト側が確認してくれるので、通関トラブルの減少が期待されている。中国でのスムーズな通関が期待できるので、最短3日で中国全土に配送することが可能となる。

 日本のネット通販事業は、毎年市場規模が拡大しているが、そろそろ頭打ちになるという公算が高まっている。楽天の2013年の流通総額は約1.7兆円で昨年より20%近く増加した。ただ利用者の年齢層はすでに多岐にわたっており、若年層だけが中心というわけではない。つまり今後は爆発的な利用者の増加は見込めないことになる。

 楽天やヤフーに出店したり自身で店舗を構える通販事業者にとって、中国市場は今後の成長の柱となる。ヤマトのサービスが通関上のリスクを軽減してくれるのだとすると、今後、中国向けの販売に力を入れる事業者が増えてくることが予想される。そうなってくれば、ネット通販業界全体の成長スピードを今後も維持できるかもしれない。

 - 経済, IT・科学 , , ,

  関連記事

frb
10月のFOMC。予想外に強気で「やはり年内利上げ」との声も

 FRB(連邦準備制度理事会)は2015年10月28日に開催したFOMC(連邦公 …

putingunjiryoku
ウクライナ情勢への懸念から米国への資金流出が続く。プーチン政権には打撃

 欧州景気に対する不透明感とウクライナ情勢への懸念から、投資資金が欧州から米国に …

wsj120 02
ウォールストリート・ジャーナルが創刊125年。当時の紙面は今とあまり変わらず

 米国を代表する経済誌であるウォールストリート・ジャーナルが2014年7月8日で …

sumaho201404
総務省のメディア利用調査。現在のネット・ニュース媒体は将来も安泰か?

 総務省情報通信政策研究所は2014年4月15日、メディア利用などに関する調査結 …

africa
国連の世界人口予測が示す、中国の失速と米国の躍進。総人口ではアフリカが急進

 国連経済社会局は6月13日、世界人口展望の最新報告を発表した。それによれば、現 …

tokyowan
GDPギャップは依然マイナスのまま。供給過剰な状態は本当に一時的なものなのか?

 内閣府は8月22日、4~6月期におけるGDPギャップがマイナス1.9%になった …

chromecast
グーグルがテレビで動画を楽しめる安価な端末を発売開始。そのインパクトは?

 グーグルは2014年5月27日、テレビに接続するだけで、スマホやタブレットの動 …

kosokudoro02
高速道路無料化は永久に無理?高速3社が老朽化対策に10兆円必要との試算

 高速道路3社(東日本、中日本、西日本)は4月25日、高速道路の老朽化対策に関す …

kurumakonyu
若者の7割がクルマを買いたくない。価格が上昇してしまった理由は日本経済の低迷

 日本自動車工業界は2016年4月8日、2015年度の乗用車市場動向調査の結果を …

usakoyoutoukei201605
衝撃の米雇用統計。だが、もっとも影響が大きいのは米国ではなく日本経済

 米労働省は2016年6月3日、5月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非農 …