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とうとう物価上昇にブレーキ!日銀の追加緩和策はどうなるのか?

 

 総務省は2014年3月28日、2014年2月の消費者物価指数を発表した。各指標とも前年同月比では順調な伸びだが、前月比ではプラス0.1%の水準にとどまった。物価上昇ペースが鈍化していることが鮮明になってきている。

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 代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」は前年同月比でプラ ス1.3%と上昇したが、前月比では0.1%の上昇にとどまった。「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」についても前年同月比では0.8%の上昇だが、前月比では同じく0.1%となっている。

 量的緩和策の導入後、国内では物価上昇が順調に進んできた。だが、自律的な経済成長に伴うものというよりは、円安による輸入価格上昇の影響が大きいといわれてきた。
 実際、円安が一服し、輸入価格の他の品目への波及が一段落すると、物価上昇のペースが鈍ってきた。これまでの物価上昇は輸入インフレであった可能性が高い。

 日銀もそのことはよく理解しており、黒田総裁も1月の段階ですでに「今後、半年程度は消費者物価の前年比上昇率は1%台前半で推移する」との見方を示している。また当初から高いインフレ目標には懐疑的であった木内審議委員は、今後の物価上昇について慎重な見方を示している。

 市場では日銀の追加緩和がいつになるのかについて注目が集まっており、次回の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの予想もある。消費税増税とも重なり、景気のテコ入れという意味ではよいタイミングかもしれない。だが日銀が物価上昇の真の原因は円安であると強く認識していた場合、そのシナリオは成立しない可能性がある。

 今年の春闘は、政府が企業に対して賃上げを要請するという異例の展開となった。連合では平均で2%以上の賃上げを獲得したとしているが、あくまで大企業に限られたものであり、しかも企業ごとのバラツキは大きい。相対的に年収の低い非正規労働者の数が増加していることも考え合わせると、実質的に賃上げは1%以下の水準にとどまったと考えるべきだろう。
 そうなると、昨年の物価上昇率(コア指数)である1.3%と比較して、実質には賃下げということになってしまう。この状態で円安が進めば、輸入物価がさらに上昇し国民の生活が苦しくなることは明白だ。

 半年間は物価が上がらないという黒田総裁の発言が、このあたりまで見越したものであるならば、次回の決定会合での追加緩和の可能性は低くなる。その場合、追加緩和は消費税増税の景気への影響を確認してからという、ゆっくりとしたスケジュールになるだろう。

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