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ミシェル・オバマ大統領婦人が、わざわざ単独で中国を訪問した理由

 

 米中の外交が活発化してきている。2014年2月にはケリー国務長官が中国を訪問、3月に入ると今度はミシェル・オバマ大統領夫人が単独で中国を訪問した。同じタイミングでオバマ大統領がオランダのハーグで習近平国家主席と首脳会談を実施したほか、民間レベルではツイッターのCEOが中国を訪問している。

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 米中両国は2013年6月の米中首脳会談以降、定期的に会合を持ち、今後の米中関係について協議を行ってきた。今年は米国と中国にとって国交樹立35周年にあたる節目の年となっており、交渉の進展が期待されている。相次ぐ要人の会談はその地ならしとみられている。

 その中でも特に注目を集めているのが、ミシェル夫人の訪中である。ミシェル夫人の訪中は、3月19日から26日までの約1週間の日程で実施された。オバマ大統領とは完全に別行動で、母親と2人の娘が同行している。

 夫人は21日、北京で習近平国家主席と会談したほか、習氏の婦人である彭麗媛氏の付き添いで世界遺産の「故宮」などを見学した。さらに陝西省西安市、四川省成都市などを訪問し、積極的なファーストレディ外交を行った。
 同じ時期、オバマ大統領と習氏はオランダ・ハーグで開かれていた核サミットで首脳会談に臨んだが、習氏は「ミシェル夫人がよろしくと言ってました」と発言し、会場を笑わせる一幕もあった。

 このような形でファーストレーディが中国を訪問するのは極めて異例のことであり、その真意をめぐって、国際社会では様々な憶測が飛び交っている。

 今回の訪中の目的のひとつは、チベット問題への対処といわれている。米国は11月に中間選挙を控えており、オバマ大統領は2月、国内人権派の票固めを目的にチベットのダライ・ラマ14世と会談している。米国は記者会見なども行わないなど中国への配慮を示したが、中国は猛烈に抗議している。
 今回ミシェル夫人は成都でチベット料理店を訪問し、チベット系住民との対話を行った。中国が少数民族の権利を保護しているという立場を正当化する演出といえる。これはオバマ大統領がダライ・ラマと会談したことに対する埋め合わせと理解されている。

 米国の最大の関心事は経済にあり、米中関係においてもそれは同様である。必ずしも安全保障問題が主要テーマというわけではない。米中間での投資協定の締結、中国のTPP参加を視野に入れた貿易交渉、金融市場の自由化など経済・金融に関する幅広いテーマが存在している。

 日本国内には、日中関係の悪化から、安全保障に軸足を置いた米国の中国封じ込め策を期待する雰囲気がある。また歴史認識問題に代表されるように、日本の立場や考え方を米国に理解して欲しい、あるいは、なぜ理解してくれないのだというフラストレーションが存在している。政権幹部からは、共和党政権になれば状況はよくなるはずだという妄想に近い発言すら飛び出している。

 だが当の米国は、党派を超えてまったく違うことを考えている可能性がある。靖国参拝に対する「失望」声明や、日韓首脳会談の斡旋といった米国側の言動についても、米中の経済交渉という軸を中心に解釈すれば、すべて辻褄があう。
 戦後70年間続いてきた日米安保体制は中国の台頭を前に完全に変質している。米国への過度な期待や反発という一種の駄々っ子は、もはや通用しない。

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