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法人減税は安倍政権の本当の「顔」を知るリトマス試験紙

 

 法人税減税の焦点である課税ベース拡大に関する議論が本格化している。政府の税制調査会では、課税ベース拡大に関する論点整理が始まっているが、すでに税の優遇を受けている企業からの反発も予想される。税の公平さは、安倍政権が掲げるイノベーションの活性化や海外資本の誘致には欠かせないテーマである。これを貫徹できるのかが、法人減税のカギとなりそうだ。

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 現在、日本の法人税の実効税率は35.7%と相対的に高く、これが企業の競争力を低下させたり、海外からの資本流入を妨げているとされる。
 実際にそうなのかはともかくとして、法人減税はこの税率を引き下げることで、経済を活性化させようというプランである。

 しかし単純に税率だけを引き下げてしまうと、税収が一気に減ってしまうことが予想される。そこで、各種の税制優遇措置を見直し、公平な税制にすることで、減税は行うものの、税収は確保するというのが、課税ベース拡大の狙いである。

 日本の実効税率は35.7%と書いたが、実際に日本の企業が払っている法人税はもっと少ない。日本には「租税特別措置」をはじめとする各種の優遇税制があり、実質的には20%程度しか税金を支払っていない企業が多いのだ。
 こうした優遇措置は、製造業と建設業に集中しており、その中でもさらに特定業種に適用が集中するケースが多くなっている。例えば機械工業は、これらの優遇税制の恩恵で、実際には10%程度しか法人税を払っていない。外資系企業やベンチャー企業はこうした恩恵を受けにくく、日本市場の見えない参入障壁になっている。

 日本全体では約8兆円の法人税収があるが、こうした優遇措置をなくせば、倍の16兆円の税収が得られる可能性がある(所得控除などを除く)。法人税率を引き下げると同時に、これらの優遇税制を見直し、各社を対等に処遇することで、税率引き下げの効果を得ながら、税収の落ち込みを防ぐという算段である。

 現状のまま、税率だけを引き下げれば、特定企業だけが優遇される状況には変化がなく、日本に進出しようとしている海外資本やベンチャー企業にとっては魅力的な税制にならない。もし法人減税が、安倍政権が主張するように、産業の活性化や海外資本の誘致を目的としたものなのであるならば、課税ベースの拡大は避けては通れない課題といってよいだろう。

 だが、すでに優遇税制を受けている旧来型の大企業からは反発が予想される。同じ減税の実施でも、そのやり方によっては、構造改革にもなるし、バラマキにもなる。法人減税の進め方は、安倍政権が本当はどちらの方向を向いているのかを示すよいリトマス試験紙になるだろう。

 - 政治, 経済 ,

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