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空間除菌グッズの表示をめぐって消費者庁と大幸薬品が大バトル

 

 空間除菌グッズをめぐる消費者庁と事業者のバトルが激しくなっている。きっかけは消費者庁が事業者17社に対して出した、広告の表示変更を求める措置命令である。

kukanjokin

 消費者庁は2014年3月27日、二酸化塩素によって生活空間の除菌・消臭ができるとする空間除菌グッズは、効果を裏付ける十分な根拠がないとして、事業者17社に対して表示変更などを求める措置命令を出した。
 消費者庁では二酸化塩素そのものには、除菌・消臭効果があるものの、換気が行われ、人の出入りがあるところでも同様の効果が得られるのか疑問だとしている。各社に資料提出を求めたところ、密閉空間のみのデータしかなく、開放空間で明確な効果があるとは認められなかったという。

 これを受けて大幸薬品は「ご利用環境により成分の広がりは異なります」との注意書きを入れることで対応したが、再び消費者庁がこれを問題視。今後も同社が同じような表示をした場合には、法律に基づく更なる対応を検討するとしている。
 ちなみにトヨタ・グループのデンソーも車載用に類似の商品を販売している。デンソーの商品は大幸薬品から提供を受けて販売しているもので成分はまったく同じだが、こちらの商品は今回の措置命令には含まれていない。デンソーによれば、自動車の車内の閉鎖空間で15分間使用した場合、99%のウイルスが除去されることを検証したとしており、開放空間用ではないことが除外の理由と思われる。

 二酸化塩素を使った除菌グッズは、インフルエンザ対策として大ヒット商品となっているが(インフルエンザは厳密には菌ではなくウイルス)、基本的には室内など密閉空間での除菌を念頭に開発された商品である。だが、一部の製品は「首からぶら下げるだけで、自分の空間を消毒できる」などと表示しており、消費者庁はこれを問題視したようである。

 風が吹く屋外でこうしたグッズを使った場合、効果が激減することは明白であり、事業者側にとっては、そのような環境における効果については自己判断でというスタンスだったと考えられる。実際、似たようなレベルの表示は他の広告でもよく見かけるものであり、空間除菌グッズだけが著しく消費者の利益を害しているのかというと微妙なところではある。
 効果があまりないと考えられる状況でも、効果があるかのように表示しているのは事実だが「状況によって効果は異なる」という但し書きを入れても、まったく許容されないものなのかについては、意見が分かれるところだろう。

 もっとも、今回の措置は別な意味で妥当という見方もある。二酸化塩素はもともと消毒用の劇薬であり、この物質そのものに強力な消毒効果があることは周知の事実である。むしろ製品が登場した当初は、薬品の影響が強すぎ、二酸化 塩素の影響で喉が荒れたり、気分が悪くなるといった副作用がでるのではないかとの懸念の声もあった(一部でそのような事例が出ている)。
 二酸化塩素という物質の特性をよく理解しない消費者が、安易にこの物質を利用しなくなるという意味では、一定の効果はあったのかもしれない。

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