ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日銀が追加の量的緩和策を見送り、金融政策を現状維持とした理由

 

 日銀は2014年4月8日、金融政策決定会合を開催し、金融政策の現状維持を決定した。4月中の追加緩和策の実施は見送りとなる公算が高くなった。

nichigin04

  日銀は昨年4月以降、2%の物価目標を設定すると同時に、マネタリーベースを年間約60~70兆円ずつ増加させる量的緩和策を実施している。
 量的緩和策が始まる直前には135兆円程度であったマネタリーベース(日銀が供給する通貨の総量)は、2014年2月末の段階で200兆円を突破しており、資金供給は当初の予定通りのペースで進んできた。
 今回の会合では、年間60~70兆円という資産買い入れのペースを維持することを決定した。2%の物価目標もそのままであり、ほぼ現状の金融政策を維持する形となっている。ただマネタリーベースがすでに1.5倍に膨れあがっていることを考えると、資金供給の絶対量は変わらなくても、割合は低下することになる。

 今回の会合で追加緩和が決定されると予想する市場関係者は少数派だったが、一部からは追加緩和が実施されるのではないかと期待する声があった。また次回の会合が4月30日であることから、4月中の追加緩和を予想する向きもある。だが日銀が4月中に追加緩和に踏み切る可能性はかなり低いと考えた方がよいだろう。

 日銀は2%の物価目標を掲げているが、当分の間、物価上昇率が2%に達する可能性は低いとみている。それは現在の物価上昇が持続的な経済成長によるものではなく、円安による輸入物価上昇の影響が大きいからだ。
 4月からは消費税が増税となっており、駆け込み需要の反動で景気の落ち込みも懸念されている。このような状況で下手に追加緩和を行えば、さらに円安が進み、景気が落ち込む中での物価上昇となる可能性が高い。わざわざこのようなタイミングで、最後の砦である追加緩和を行う必要はなく、少なくとも消費増税の影響を見極めてからでも遅くはない。

 もっとも、今回の様子見が日銀にとって有利かどうかは分からない。消費増税による景気の落ち込みが深刻だった場合には、結局のところ同じ結果となるからだ。ただ政府は、消費税対策として10兆円の公共事業を前倒しで執行する方針である。これが、うまく作用すれば、4~6月期のGDPは比較的よい数字になる可能性もある。
 消費増税の影響がよりはっきりしてくる夏場が、追加緩和のターゲットとして意識されてくることになるだろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

nikkeifinancialtimes
日経によるFT買収。読者層が異なる媒体でシナジー発揮できるのか?

 日本経済新聞社は2015年7月23日、英国の経済紙フィナンシャル・タイムズ(F …

jiminzeiseikaisei201412
税制改正大綱が決定。注目点は法人減税と高齢者から子や孫への資産移転

 自民、公明両党は2014年12月30日、2015年度税制改正大綱を決定した。焦 …

abe20130113
安倍首相が訪米を前にTPP参加を決断?。正式な表明は参院選前との説も

 安倍首相は、21日の訪米を前にTPP(環太平洋経済連携協定)に参加を表明する意 …

no image
企業の倒産件数が激減。だがそれは、銀行のあたらな時限爆弾に過ぎない

 銀行の過剰な国債保有が懸念されている中、銀行のあたらたな時限爆弾の存在が明らか …

chery
中国で大手自動車メーカー同士が初の本格提携。外資依存からの脱却を目指す

 中国の自動車メーカーである奇瑞汽車(安徽省)と広州汽車(広東省)とが提携する。 …

tosho03
公的年金が海外インフラ投資への参入を検討。国内の株式はどうするの?

 日本の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用指針の …

kokusaishushi201402
経常赤字体質への転換を受け、政府は海外資本の誘致に舵を切り始めた

 財務省は2014年4月8日、2014年2月の国際収支を発表した。最終的な国の収 …

wallst02
8月の雇用統計は市場予想を下回るもまずまず。9月緩和縮小の可能性は引き続き高い

 米FRB(連邦準備制度理事会)における緩和縮小の判断材料となる最新経済指標がほ …

kaisatu
イマドキの新社会人の価値観は、実はバブル世代上司とそっくり

 人並みに働けば十分と考える新入社員が過去最高水準になったことが、日本生産性本部 …

hoeness
税金を支払いさえすればOKという、脱税に対するドイツの考え方は正しいか?

 脱税には比較的寛容といわれてきたドイツで、脱税者の処罰をめぐって激論が戦わされ …