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米国依存が鮮明になったIMFの最新世界経済見通し。日欧の量的緩和策が次の焦点に

 

 IMF(国際通貨基金)は2014年4月8日、最新の世界経済見通しを発表した。2014年における全世界のGDP成長率見通しは、前回(2014年1月)から0.1ポイント下方修正され3.6%となった。
 前回と同様、経済成長の牽引役が新興国から米国にシフトしており、新興国リスクが増大しているという見方だが、新興国の停滞長期化とウクライナ問題の発生により、さらに見通しが引き下げられた。

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 世界経済の2014年と2015年の成長率見通しは、それぞれ3.6%と3.9%になった。前回予想からそれぞれ0.1ポイント引き下げられている。一方、新興国については2014年は0.2ポイント引き下げられ4.9%に、2015年0.1ポイント引き下げられ5.3%とした。
 世界経済の牽引役が新興国から米国にシフトしており、それに伴って新興国からは資金が流出している。
 一時はトルコ・リラなど新興国通貨が大幅に下落し市場に緊張が走ったが、現在は落ち着きを取り戻している。ただ、新興国の金融情勢が逼迫している状況に変化はなく、IMFでは今後も成長鈍化が続くと見ている。

 先進国では米国と英国の成長率が突出している。2014年の見通しは、米国が2.8%、英国が2.9%と高い成長が見込まれている。米国は前回予想と変わらないが、英国は0.4ポイントの上方修正となった。ドイツは1.7%、低迷が続くフランスは1.0%となっている。
 米国は大寒波の影響が心配されたが、ほとんど杞憂だったようだ。欧州についてはインフレ率の低下が懸念されるとしている。

 ウクライナ問題で欧米から制裁を受けているロシアについては、前回見通しから0.6ポイント引き下げ、1.3%とした。2015年についてもロシアは下方修正されている。また景気失速が懸念される中国については、前回予想の7.5%を据え置いた。

 日本については消費増税による落ち込みが大きいとして、前回予想から0.3ポイント引き下げられ1.4%となった。デフレに関する懸念は少ないとしているが、増税による景気後退のリスクがあるとしている。いつものことではあるが、構造改革と財政再建を進めなければ、持続的な経済成長に結びつけることができないとの指摘がなされている。

 昨年後半から、世界経済は米国のみに依存する傾向が顕著になっているが、現在も同じ状況が続いている。ただ、ウクライナ問題の発生によって、世界経済の不透明感は高まっており、さらに成長が鈍化する可能性が出てきたといえるだろう。

 そうなってくると注目されるのが、欧州と日本の動向である。欧州中央銀行は低いインフレ率を懸念しており、ドラギ総裁は量的緩和策の導入を示唆する発言を行っている。日本は4月8日の金融政策決定会合において追加緩和を見送ったが、夏には緩和に踏み切るとの予測もある。両中央銀行の緩和策に対するスタンスが、今後の世界経済にとって、重要なカギとなってきている。

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