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東証が企業に対して踏み込んだ適時開示をするよう指導中。背後にある問題とは?

 

 東京証券取引所が、投資家に対する適時開示について、より踏み込んだ内容にするよう企業に対して指導しており、その成果が上がってきているという。

 tosho 適時開示とは、法律では義務付けられていないものの、投資家が適切に判断できるよう、取引所が上場企業に求めている情報開示のこと。法律で義務付けられている開示情報だけでは、投資家は十分に状況を判断できないのが実情であり、適時開示は健全な市場の育成に重要な役割を果たしている。

 だが、その適時開示も年々形骸化しているというのが実情であった。
 もっとも典型的なのが、増資やM&Aなどの際、マスコミが報道した内容について「当社から発表したものではない」「決定した事実はない」という、肯定とも否定とも取れる無意味な開示を行うケースである。投資家はこのような情報をもらっても何の参考にもならない。

 ブルームバーグの取材に対して、東証は、より踏み込んだ表現を使うよう指導を強めており、その成果が上がってきていると説明している。確かに最近では「検討しているのは事実ですが、まだ正式に決定したわけではありません」といった形で、検討していることまでは認めるような内容が増えてきている。

 東証の指導そのものは適切であり、高く評価してよいだろう。ただこのような形骸化が起こった背景には、企業からメディアへのリークという問題があり、この部分を解決しないと、根本的な投資家保護にはつながらない。

 事前に特定メディアだけがこうした重要情報を報道できるのは、ほとんどの場合、その当事者である企業が、特定媒体だけに情報をリークしているからである。これは官庁でもよく見られることであり、ネット上での一斉開示の前に、主要な新聞社やテレビ局だけを集めて説明を行うケースが多く存在する。
 官庁や企業の中には、このような偏った開示方法はやめているところもあるが、旧態依然の慣行を色濃く残しているところは多い。

 こうした事前リークが発生するのは、日本の国民の大多数がいまだに新聞とテレビに対して絶大な信頼を置いているからである。
 特定の有力メディアにだけ情報を小出しにし、世の中の反応を見た上で最終的な決定を行えば、経営陣や官庁は大きなリスクを負わなくて済む。メディア側も先に情報がもらえるので、取材先の意向を受けた報道をしてしまう。
 こうした一種のバーターが発生するのは、現場の状況を考えるとやむを得ない面もある。だが自身がメディアに情報をリークしておいて、「当社から発表したものではない」などと開示しているのでは、投資家を愚弄しているといわれても仕方がないだろう。

 情報は提供する側が圧倒的に有利な立場にあり、情報提供者がその気になれば、いくらでも情報のコントールは可能である。そうした状況を打破することについて、一介の営利企業にすぎない大手マスコミの報道姿勢にのみ求めるのはナンセンスである。
 今回のケースでいえば、もっとも重要なのは紋切り型の適時開示は無意味であり、もっと突っ込んだ情報開示が必要という投資家の声ということになる。一般の報道も同様である。企業や官庁が適切に情報開示するという開かれた社会を作るのは、官庁でも大手マスコミでもなく、国民自身である。

 - マスコミ, 経済 ,

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