ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

シャープが再増資を検討中。成長戦略への自信のなさか、資本政策に奇妙な点も

 

 経営再建中のシャープが、再び増資を行うとの報道が出ている。今回の増資は、今後の成長資金を確保するための重要なステップとなる。同社は経営危機後、数回増資を行っているが、これまでの資本政策には少々奇妙な点も見られる。経営陣はまだ今後の成長シナリオについて確信が持てていないのかもしれない。

sharp

 報道によると増資の規模は約2000億円で公募増資の形を取るという。同社はこの増資を正式に発表していないが、資本増強策を検討していることは認めている。
 もし2000億円の増資に成功すれば、一時は6%台まで低下していた同社の自己資本比率は20%程度まで回復する。同社は依然として1兆2000億円もの有利子負債を抱えているが、とりあえず危機的な状況からは脱することになる。

 シャープは2013年3月期の決算において約5500億円の赤字を計上し、一時は経営危機説まで囁かれた。当初は台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の支援を受けて事業を再生する計画だったものの、シャープ経営陣がホンハイ傘下での厳しいリストラを懸念し、同社からの支援を拒否。結局、公募増資、さらには取引先からの出資で約1400億円を調達し、銀行から追加融資を受けることで何とかしのいできた。

 今回の最増資で今後の成長にはずみをつけようという目論見だが、必ずしもその筋書きはうまくいっていない。
 同社の2014年3月期決算は、売上高2兆9000億円、経常利益は400億円と3年ぶりの黒字になる見込み。ただ、この数字はスマホ向け液晶の伸びに大きく依存しており、利益率はほとんど改善していない。本業の利益で有利子負債を返済するという姿からはほど遠い。

 このような状況を反映してか、同社の資本政策には少々奇妙な点も見られる。昨年の増資に先立って同社は減資を行っている。だが利益剰余金のマイナス分以上に減資を行って、逆に減資後は利益剰余金を増やしている。しかも株数は変わらず、実質的には何も変化していない。
 同社はこの資本政策の意図について詳しく説明していないが、利益剰余金を多く捻出して十分な配当原資を確保し、増資を引き受ける投資家を安心させようという意図が見え隠れする。

 本来、配当は本業の利益から投資家に還元すべきものであり、利益剰余金はそのような意味を持つ科目である。これらの措置はすべて見かけ上のものであり、実質的には何も変化はなく、投資家が損失を被っているわけではない。
 ただ、見方によっては、増資に際して必要となる今後の成長戦略について、経営陣がまだ十分に自信を持っていないという印象を与えかねないものである。こうした資本政策が長期的に見て得策かどうかは微妙なところだ。

 - 経済, IT・科学 , ,

  関連記事

dentaku
政府がとうとうデフレの表現を削除。だが実態は輸入価格上昇によるインフレ

 政府は2013年12月24日の月例経済報告において「デフレ」の表現を削除する。 …

citi
100年の歴史を持つシティバンクの個人部門が日本から撤退

 シティグループが国内の個人向け銀行業務を売却する方針であることが明らかとなった …

no image
深刻化する欧州の失業率。その中にあってオーストリアに失業者がいないワケとは?

 欧州の雇用がさらに深刻な状況になっている。フランス政府は27日、完全失業者が1 …

kokuritsukyogijo
五輪東京開催で変わる日本経済の長期的見通し。すべては2020年以後に先送り?

 2020年のオリンピック開催地が東京に決まったことで、日本経済の長期的見通しに …

tokkyosingikai
社員の発明をめぐり、今度は一転して企業帰属の方向性で議論が進む

 政府は、企業の従業員が発明した特許について、これまでとは反対に、原則として企業 …

kokusaishushi201312
国際収支を見れば、日本の輸出不振は1990年代から始まっていた事が分かる

 財務省は2014年2月10日、2013年12月の国際収支を発表した。最終的な国 …

abekaiken
成長戦略の目玉である産業競争力強化法案は、規制緩和に関する規制を強化する法案?

 安倍政権は、秋の臨時国会において成長戦略の目玉とされる「産業競争力強化法案」を …

africa
国連の世界人口予測が示す、中国の失速と米国の躍進。総人口ではアフリカが急進

 国連経済社会局は6月13日、世界人口展望の最新報告を発表した。それによれば、現 …

marines
日本の軍事費は世界第5位に。だが自衛隊の「質」はどの程度なのか?

 スウェーデンのシンクタンク・ストックホルム国際平和研究所は4月15日、世界の軍 …

oecd
OECDが付加価値ベースで見た自国産出割合を発表。日本は世界1位なのだが・・・

 経済協力開発機構(OECD)は5月28日、世界貿易機関(WTO)と共同で、貿易 …