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公的年金による株の買い支えを示唆した麻生財務相の発言。真意はどこに?

 

 麻生財務相が公的年金による株の買い支えとも取れる発言を行ったことが株式市場で話題となっている。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針見直しを受けての発言だが、市場ではこの意味について様々な解釈が出ている。

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 麻生氏は2014年4月16日に開催された衆院財務金融委員会で、GPIFについて「6月以降に動きが出てくる」と述べた。その上で、株式市場では「外国人投資家が動く可能性が高くなる」とした。
 現在GPIFでは、国債を中心とした従来の運用方針の見直しを行っている。すでに昨年11月、運用見直しを提言する有識者会議の報告書が出ており、これを受けて安倍首相は2014年2月の衆院予算委員会で、公的年金の運用方針を見直す考えを明らかにしている。

 素直に考えれば、GPIFがポートフォリオの見直しを行い、日本株の比率を上げ始めるのが6月からという解釈になる。GPIFは現在約130兆円という巨額の資金を運用している。ごく一部分でも、債券から株式へのシフトが発生すれば、株価を押し上げる効果は大きいだろう。結果論としての株価上昇であれば何の問題もないわけだが、発言には少々気になる点もある。

 ポートフォリオの見直しを通じて、外国人が動く可能性があるとしている部分である。現在、日本の株式市場の取引は7割が外国人投資家で占められており、日本人はほとんど手を出さなくなっている。しかも外国人投資家のかなりの割合が、短期的・投機的な投資家だともいわれている。

 新興国不安やウクライナ問題によって、このところ世界規模で株価の急落が起こっているが、米国など諸外国の株価は下落しても、すぐに元に戻っているが、日本だけが戻っていない。つまり悪いニュースには反応して株価は下落するものの、よいニュースには反応しないという状況が続いているのだ。

 その原因として、一部では逃げ足の速い外国人の投資家が資金を引き揚げているという見方がある。もし麻生氏の発言が、外国人投資家主導による株価下落を憂慮したものであり、GPIFの運用見直しが、外国人投資家を呼び戻すための起爆剤なのだとすると、それは本末転倒になる可能性がある。逃げ足の速い外国人投資家は、株価が上昇したら再び株を売却してしまうからだ。

 15日に行われた安倍首相と日銀の黒田総裁の1時間にもわたる会談も、株価を意識したものであるとの見方が市場では根強い。消費増税直後であることや、追加緩和をめぐって市場に思惑が交錯している時期であるだけに、株価に対して神経質になるのはある程度致し方ない。
 ただ、年内という見通しであったGPIFのポートフォリオ見直しが6月に行われるということになると、これはかなり切迫した状況であるという印象を市場に与えかねない。外国人投資家の買い=成長戦略への信認、という図式で株価対策を行っているというイメージになれば、逆に海外の投機筋にとっては格好の攻撃材料となる可能性もある。

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