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法人減税をめぐって外形標準課税拡大の議論が政府税調でスタート

 

 法人税減税をめぐって、赤字法人への課税を強化するプランが浮上している。具体的には外形標準課税の枠を拡大する方策が政府税調内で検討されている。
 外形標準課税の適用範囲を拡大し、赤字法人に対してもより広く課税の網をかければ、実効税率を下げても税収の減少を最小限に抑えることができる。ただ赤字法人で課税対象となるところが出てくることから、導入には反対の声が上がることも予想される。

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 現在、法人税の実効税率引き下げについては、税収が減少する分を何で補うのかについて激しい議論が行われている。
 基本的に政府の税制調査会では、租税特別措置など、特定企業を優遇している税制を廃止し、課税ベースを拡大することで、税収不足をカバーしようとしている。

 租税特別措置は製造業や建設業を中心に、特定の業界や企業の税金を優遇する制度。適用される業界の偏りが指摘されているほか、優遇措置が政治利権化しているものもあり、批判が多かった。この制度をなくし課税ベースを拡大すれば、法人税率を引き下げても、税収は減らさずに済む。

 これに加えて議論の対象となってきたのが、外形標準課税の拡大である。現在、資本金1億円超の大会社に対しては、事業税として外形標準課税が課されている。これは利益に関係なく、賃金や土地建物の額などに基づき課税を行うもので、赤字法人もその対象となっている。

 日本には会社が約250万社があるが、このうち7割以上が赤字法人であり、法人税を支払っていない。赤字の理由は様々で、本当に利益が出ていない中小零細企業も多いが、中には税金を払うくらいなら赤字にした方がマシというスタンスで経費を過大にかけているところもある。また大手企業の中には、巨額の損失を利用して損失を繰り越し、実質的に税金を支払っていないというケースも見られる。

 外形標準課税はこうした企業にも網を掛けることになるので、税収の増加が期待できる。ただ、外形標準課税は、賃金に課税するという意味合いも強く、企業側には抵抗感が強い。議論が進んでくれば、かなりの反対意見が出てくることになるだろう。

 ただ外形標準課税の適用対象となっている事業税は、課税所得から控除できるなど、法人課税の体系を複雑にする元凶となっており、これが税制のわかりにくさの原因にもなっている。
 また、インターネットの発達によってグローバルなオペレーションが可能となり、利益の操作が容易になってきている。利益の有無に関係なく、事業活動そのものに課税できる外形標準課税を拡大することは時代の流れにも合っている。

 最悪なのは、現在の複雑な法人税の体系が変わらず、単に税率だけが下がり、結果的に税収が減少してしまうことである。財政難が歴史的水準に達している現在の日本において、税収減を受け入れる余裕はない。法人税の実効税率を引き下げるのであれば、やはり課税ベース拡大策とのセットが不可欠だろう。

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